7月14日
締め付け緩和も回復の兆し見られず、需要期の9-10月に一段の市況悪化も

中国では地方政府による不動産締め付け措置の緩和が相次いでいるが、今のところ不動産市況に回復の兆しは見られない。調査対象22都市の物件価格の下落ペースが加速する中、BOCIは不動産リスクがこの先むしろ拡大する可能性を指摘。大型プロジェクトの分譲開始が見込まれる9-10月には成約率が一段と悪化し、平均販売価格の下落が加速する可能性に言及した。その一方で、本土不動産銘柄の買いチャンスも9-10月ごろに到来するとの見方。その理由として、◇前年同期実績の低さから物件相場の下落ペースが縮小に転じる、◇値下がりを背景に一部で売れ行きが好転する――などの見通しを挙げている。

BOCIが調査対象とする国内22都市では、直近1週間の物件販売面積(延べ床面積)が前週比7.8%減少。直近4週間では前年同期比26.1%の落ち込みとなった。減少率は前の週から2.5ポイント拡大。4週前比では6.3ポイント拡大したことになる。

主要7都市の平均成約率は過去12週間に77.2%と、前週の71.0%から回復傾向を示した(前年同期は122.3%)。ただ、BOCIによれば、これは売れ行きが改善したというより、新規の物件供給が減少したため。7月は例年閑散期に当たり、デベロッパーが新規の分譲開始を手控える傾向が強い。一方、17都市の平均在庫回転周期は7月11日時点で1.40年に達しており、物件在庫レベルは歴史的高水準にあるという。1.40年という数字は4週前比で4.7%増、前年同期比では54.9%増。大都市(1級都市)の在庫レベルが最も低いものの、在庫の増加率では2級都市、3級都市を上回るペースにある。

BOCIは中国不動産市場の下降サイクルが当面続くと予想。少なくとも15年上期までプラス成長の回復は期待できないとみている。◇これまでの好況局面で需要がいったん出尽くし、次の購買力を蓄積するまでにはある程度時間がかかる、◇物件相場の調整を背景に買い手の様子見姿勢が強まっている、◇締め付け緩和によるインパクトが限られる、◇住宅ローン市場が引き締め傾向にある――ことなどを理由としている。

最近では山東省済南市が住宅購入制限措置を取り消し、市場を驚かせたが、BOCIは今後もこうした動きが続くと予想。年末までには大都市部を除く多くの都市が同措置の撤廃に動くとみている。ただ、不動産市況の現在の低迷については、過去に導入された締め付け措置が主因ではないとし、地方政府による購入制限廃止が市場に及ぼす効果は限られるとの見方。むしろ住宅ローン市場の緩和が求められると指摘している。

個別では大都市、小都市を含め、開発用地のロケーション面で多様性の高いデベロッパーを有望視し、この点から華潤置地(01109)をトップピックとした。また、大都市を主力としながらも足元の成約状況が好調な融創中国(01918)をもう一つのトップピック銘柄としている。