主力事業の成長減速で利益下振れリスク、粉ミルク事業も14年に苦戦か

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02319 中国蒙牛乳業(チャイナ・モンニュウ・デイリー)  39.10 HKD
(05/23現在)
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BOCIは中国蒙牛乳業の株価に対する従来の強気見通しを中立的に修正した。◇販売量や平均販売価格の伸び悩みを受け、買収効果を除く既存事業の増収ペースが減速する見通し◇既存主力事業のEBITマージンの改善余地が2015年以降限られる見通し◇傘下に収めた粉ミルクメーカー雅士利国際(01230)の大幅な利益下振れ懸念◇原料乳コストの低下を織り込んで、株価が予想PER30倍、PEG1.5倍の高水準に達したこと――などが理由。14-15年の予想EPSを8-12%減額修正し、目標株価を引き下げた。

国家統計局によると、中国の乳製品生産量は1-4月に前年同期比1%減。うち89%を占める乳飲料(牛乳を含む液体乳全般)生産量は同2%の落ち込みとなった。BOCIによれば、国内市場の伸び悩みは原料乳の供給ひっ迫と需要委縮が背景。同社の乳飲料販売量は13年に前年比4%増にとどまったが、14年も一桁台前半の伸びとなる見通しという。消費アップグレードを背景にハイエンド製品の販売が伸びても低価格製品にしわ寄せが及ぶとみている。また、BOCIは13年に実施した5-10%の値上げを理由に、マスマーケット製品需要の委縮を予測している。ちなみにUHT牛乳や「酸酸乳」などのマスマーケット向け乳飲料は13年に同社売り上げ全体の44%を占めた。ただ、この先の価格据え置きで、15年以降は主力製品需要が段階的に上向くと予想。15年、16年にそれぞれ前年比6%増、5%増を見込んでいる。

一方、13年には平均4%の値上げと高付加価値製品の比重拡大で、平均販売価格が13%上昇した。BOCIによれば、前年の値上げの影響などで、14年の平均販売価格は8%上向く見込み。ただ、輸入UHT牛乳との競争が激化する中、一段の値上げ余地は限られるという。同社経営陣は引き続き製品構成の優良化を進める方針だが、BOCIはこうした戦略による粗利益率の改善効果はこれまでより小幅にとどまるとの見方。15年、16年の平均販売価格については、それぞれ前年比3%程度の上昇を予測している。 平均販売価格の上昇を受け、雅士利国際を除く既存事業の粗利益率は13年の26.1%から14年には26.7%に上向く見込み。EBIT(利払い・税引き前利益)マージンも3.8%から4.3%に上昇するとみられる。ただ、BOCIは15-16年には前年比で横ばい推移すると予測し、その理由として競争激化や値上げ余地の縮小を挙げた。仮に製品構成の優良化で粗利益率が改善しても、販管費比率の増大で相殺される見通しという。 中国の乳児用粉ミルク売り上げは価格競争下で13年下期に減速し、今も回復していない。BOCIによれば、雅士利国際の増収率および増益率は15-16年に加速する見通しだが、14年には4%減収、26%減益と苦戦する見込み。BOCIは上記の要因を反映させる形で、中国蒙牛乳業の14年、15年EPSを8%、12%減額修正し、目標株価の引き下げと投資判断のダウングレードを実施した。