CITCの新株取得で防衛セクターに参入、長期のメリットを予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02357 中国航空科技工業(アビチャイナ)  4.44 HKD
(05/19現在)
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アビチャイナはこのほど、自社および非全額出資子会社の中航航空電子設備(AVIC Electronics:上海A600372)が、成飛集成(CITC:深センA002190)の新株それぞれ1億30万株、3310万株を1株当たり16.60元で取得すると発表した。3年間のロックアップ期間付きで、取得総額はそれぞれ最大16億6500万元、5億5000万元。これにより、アビチャイナの航空機製造部門が防衛セクターに手を広げることになった。BOCIはこの資本参加を前向きに受け止め、同社株価の先行きに対して強気見通しを明らかにしている。

CITCによる第三者割当増資は資産再編計画の一環であり、アビチャイナと中航航空電子設備を含む10社が新株を引き受ける。新株発行数は最大52億8241万株。うち、中国航空工業集団(AVIC)の旗艦企業であるアビチャイナの引き受け部分が全体の31.5%と最も大きく、中航航空電子設備と合わせたCITC株の持ち株比率は計8.45%となる。CITCは資産再編計画の中で、引き受け10社のうち3社(AVIC、中国華融資産、洪都集団)の子会社である瀋飛集団(Shenyang Aircraft Group)、成飛集団(Chengdu Aircraft Group)、洪都科技(Hongdu Technology)の権益100%を買収する運び。これにより、AVICの防衛設備資産を上場させる形となり、CITCは“中国版ロッキード・マーティン”との称号に最も近い存在になるという。BOCIはこの取引を通じ、CITCの13年EPSが0.15元から0.46元に上向くとみて、短期的株価の上昇を予想している。

アビチャイナにとって、この取引は防衛部門への事業拡大を意味すると同時に、投資構成の改善につながる見込み。BOCIによれば、中国の防衛セクターは航空機製造部門において最有力分野であり、同社に長期のメリットをもたらすという。また、今回の取引を受け、CITCによるアビチャイナへの利益寄与は7億4000万元(ほぼ15倍増)に達する見通しとなった。

一方、親会社のAVICはエアバス・ヘリコプターとの間でヘリ1000台の供給に合意したが、この契約はアビチャイナのヘリ部門にとって大きな意味を持つという。BOCIによれば、まずは長期の輸出売り上げが見込める点でアビチャイナにプラス。AVICの民間ヘリ資産はすべて哈飛航空工業(上海A600038)に注入済みだが、この哈飛航空工業はアビチャイナの子会社。エアバスからの受注は実質的にアビチャイナの手に渡る。また、今回の受注を通じ、同社の研究開発力、製造能力が国際水準にあることを示せる点でも有益という。

BOCIは潜在的なリスク要因として資産注入計画の頓挫や航空機引き渡しスケジュールの遅れなどに言及しつつも、戦略的重要性などの視点からCITC株の取得を前向きに評価している。