14年1-3月期の業務統計は予想通り、ソーラー業界全体に先行き不透明感

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03800 保利協キン能源控股有限公司(GCLポリー・エナジー)  2.27 HKD
(05/16現在)
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保利協キン能源の2014年1-3月期の業務統計は、多結晶シリコン生産量が予想を14%上回る半面、主要利益源であるウエハーの生産量は予想通りの水準だった。同社によれば、傘下の協キン新能源(00451)を通じた太陽光発電所(ソーラーファーム)の1GW規模の収益寄与が14年に始まる見込み。また、流動床式(FBR:Fluidized Bed Reactor)を用いた多結晶シリコン生産も14年8月に始動する見通しという。BOCIはウエハー生産見通しの下方修正や自家用発電プラントの稼働が遅れる可能性を反映させ、同社の目標株価を引き下げた。ただ、海外市況がさえない中で、同社経営陣は14年、15年に一定の増益を維持できるとの見方。BOCIはソーラーファームビジネスが一段の成長に寄与するとみて、株価の先行きに強気見通しを明らかにしている。

経営陣によると、協キン新能源の発電容量は14年に1GW増え、その後も最低でも年間1GW以上のペースで拡大する見通し。BOCIは協キン新能源による貢献を考慮し、15年の予想純利益を8.6%上方修正した。同社幹部はまた、中国政府当局が14年10月にも、分散型太陽光発電の普及に向けた新たな政策支援を導入すると見ている。

国家電網公司(State Grid)による承認の遅れから、江蘇省徐州の自家用発電プラントは今も稼働していない。経営陣によれば、地方環境当局の認可はすでに獲得し、石炭火力発電機の試運転を終えたという。ただ、BOCIは稼働開始の遅れから、太陽光ビジネスの14年の予想粗利益を10%の幅で下方修正。また、多結晶シリコンの4-6月期、7-9月期の予想生産コストを1kg当たり14.5米ドルから16米ドルに増額修正した。BOCIは現時点で、自家発電プラントの稼働時期が10-12月期にずれ込むとみている。

一方、ウエハー生産能力の拡大ペースも政策不透明感を背景に減速している。同社は14年中に、国内市場全体で13.5GWの新規据え付けを予想しており、その内訳はソーラーファームが8GW、分散型設備が5.5GW。この数字はBOCIの当初予想並みとなるものの、同社が示した従来見通しの14GWを小幅に下回る。また、同社は14年末時点で15GWとしていたウエハー生産能力の増強計画を13GWに下方修正した。BOCIは太陽光市場を取り巻く不透明感が影響したと指摘し、14年、15年のウエハー予想生産量をそれぞれ3.9%、13.3%下方修正している。 BOCIによると、同社の潜在的なリスク要因は、◇自家発電機稼働のさらなる遅れ、◇中国の太陽光政策を取り巻く不透明感、◇日本が中国製設備を対象に反ダンピング調査を開始する可能性――など。また、米国は6月にも反ダンピング、反補助金に関する決定を下す予定であり、オーストラリアも5月、中国製モジュールに対する反ダンピング調査を始めると発表した。こうした海外市場でのビジネス環境の悪化が当面、太陽光発電銘柄の足かせとなる可能性があるという。