5月2日
税制改革がキャリア3社に打撃、基地局設置で共同出資会社設立へ
中国当局は通信業界を対象に、現在適用している「営業税」を「増値税」(付加価値税:VAT)に換える税制改革を試験実施する方針であり、通信キャリア3社は2014年4月末、6月1日付でVAT制に移行すると発表した。この税制変更は3社にとって一定の打撃となり、BOCIの試算によれば、うちチャイナ・テレコム(00728)、チャイナ・ユニコム(00762)の利益は向こう2年、そろって17%、20%の幅で目減りする見込み。チャイナ・モバイル(00941)の利益に関しては、人件費比率の相対的な低さや設備投資額の大きさから、向こう2年の影響が7%、9%にとどまる見通しという。一方、通信キャリア3社は先ごろ、基地局タワーの設置や保守などを手掛ける共同出資会社を設立する計画を発表したが、BOCIによれば、この計画は4Gネットワークの敷設コスト軽減やカバーエリアの拡大につながる点で、チャイナ・テレコムとチャイナ・ユニコムに明らかに有利。最大手のチャイナ・モバイルはこの計画を通じて資産評価益を計上する見通しだが、カバーエリアなどの点で、長期のアドバンテージを失う可能性があるという。
BOCIが示した試算によれば、VAT移行に伴うチャイナ・モバイルへのマイナス影響は明らかに他2社より小さく、他2社の利益は15年に各20%の幅で大きく減少する見込み。ただ、マイナス影響は段階的に「中立的」となり、17年以降はプラスに転じる可能性がある。
一方、通信キャリア3社が過去25年間に建設した基地局は2G、3G、4G合計で約200万棟。BOCIによれば、屋外のマクロベースの基地局タワーは3社合計で100万棟弱。過去5年間の世界の買収案件を見る限り、タワー1棟当たりの買収価格はおおむね10万米ドル程度であり、BOCIは100万棟の市場価値が1000億米ドルに上るとみている。 基地局に関するキャリア3社の共同出資計画を受け、市場では設備投資の縮小観測が広がり、通信設備セクターに影響すると懸念が広がった。ただ、BOCIはこうした観測には根拠がないと指摘。実際にキャリアが設備購入を減らすことは考えにくいとしている。 BOCIはキャリア3社のうち、チャイナ・モバイル株価の先行きに弱気見通しを継続する一方、チャイナ・テレコムおよびチャイナ・ユニコムに対して強気見通しを維持している。VAT制への移行は向こう2年間の両社利益に打撃を及ぼすものの、BOCIは政策不透明感の一つが払拭されたと前向きに受け止めている。BOCIによれば、両銘柄にとっては3社間の交渉が長引き、共同出資会社の設立に予想以上の時間がかかる可能性や、4G規格FDDの事業免許交付の遅れなどが潜在的なリスク要因になり得るという。一方、BOCIは通信設備銘柄の中で、中興通訊(00763)に対して強気の見通しを示している。
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