14年1-3月期に15%減益、販売部門の権益譲渡計画が当面の焦点に

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00386 中国石油化工(シノペック)  6.92 HKD
(04/30現在)
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中国石油化工の2014年1-3月期決算は、市場予想を下回る前年同期比15%の減益となった。原油価格の下落とコスト増を受けた探査・生産部門の業績悪化や、化学部門の赤字転落、さらに人民元相場の3%の下落を受けた為替差損の急増が響いた。ただ、市場の視線が向いているのは四半期決算の内容ではなく、「販売部門の一部権益譲渡計画」。BOCIは14-16年の利益見通しを1-3%減額修正した上で目標株価を小幅に引き下げながらも、同社株価の先行きに強気見通しを継続している。

14年1-3月期の営業利益は前年同期比10%減の248億元にとどまったが、これは主に探査・生産部門の19%の営業減益が響いたため。原油販売価格が1バレル当たり95.4米ドルへ3%下落した上に、生産コストが14%増の1BOE(バレル換算)当たり18.4米ドルに膨らんだことが部門利益を圧迫した。ガス販売価格は19%上昇したものの、マイナス影響をカバーしきれなかった。コスト増の最大の原因は、昨年後半に行われた賃上げにあるという。また、石油化学製品の下落を受け、化学部門は13億元の営業損失を計上(前年同期は2億元の営業黒字)。石油製品販売部門は販売量が横ばいにとどまり、部門営業利益が3%減の88億元にとどまった。

同期にほぼ唯一好調だったのは石油精製事業で、部門営業利益は前年同期比70%増、前四半期比92%増の37億元。製品構成の優良化や、ディーゼル油の減産を通じたガソリンの増産が背景。14年年初に実施された品質基準の引き上げに対応したガソリン増産が奏功し、精製部門の同期利益は1バレル当たり5.23米ドルから6.33米ドルに改善した。 また、親会社である中国石油化工集団公司との折半出資の合弁会社が、13年下期に親会社からロシア、カザフスタン、コロンビアの川上資産を総額30億米ドルで取得したが、対象資産の原油生産量は870万バレル。この合弁会社による利益寄与が5億8900万元に達した。 BOCIによれば、短期的には引き続き、販売部門の一部権益を民間資本に譲渡する計画が支援材料となる見込み。これに伴い同社の大型流通ネットワークの価値が再評価されるとともに、将来の設備投資に備えたキャッシュを獲得することが可能となる。売却益は税引き前で910億-1440億元に上るとみられ、14年通期利益を99-156%の幅で押し上げる見通しという。 また、中国では15年年初にも、今度は軽油を対象とした品質基準引き上げが行われる運び。これは真正面からの追い風であり、1トン当たり370元の値上げ分がそのまま利益上乗せにつながる見込み。一方、BOCIは同社の潜在的なリスク要因として、原油価格および石油製品価格の急落や、販売部門の権益売却益が予想を下回る可能性などを挙げている。