4月16日
経済成長と高齢化で長期成長、政策緩和を背景に慢性疾患薬と病院経営事業に注目

中国のヘルスケアセクターは、1)高齢化と都市化、2)所得の増加とそれに伴う保険支出の拡大、3)ライフスタイルの変化、急速な経済発展、健康への関心の高まりによる罹患率の上昇、といった状況を背景に今後長期的な成長維持が見込まれる。同セクターは市場規模を拡大しつつある一方で、医薬品の価格統制をはじめ、これまで政府の指導により厳しく統制されてきた。しかし政府は現在、これまでの非効率な医療政策の見直しを行う姿勢を示しており、2014年以降は緩和の方向に向かうことが予想される。特に病院経営を含む医療サービス分野は政府支援と需給ギャップ解消により潜在力が高い。こうした状況を踏まえ、BOCIは医療セクターの見通しを「オーバーウエート」でカバレッジを開始した。

BOCIは同業界の中でも、成長性のある慢性疾患向けの医薬品を中核とし、経営の安定した大手医薬品会社に注目。個別では腎臓疾患治療薬とX線の造影剤大手の康臣薬業(01681)をトップピックとしている。主力商品の尿毒症クリアランス顆粒は12年に慢性肝臓疾患薬として唯一国家必須医薬品リスト(NEDL)に登録され、多くの医療機関に浸透している。また造影剤事業もMRT用からより市場の大きいCT用に分野を拡大し、今後の貢献が期待される点を評価。BOCIは同社の13−16年純利益の年平均成長率を28.96%と予想している。

また、医療機器や病院経営に注力する大手医薬グループが今後業界を牽引すると指摘。個別では総合医薬品会社として医薬品の製造販売から医療機器の輸入販売まで業界内の幅広いサービスを手がける上海復星医薬(02196)をトップピックに挙げている。同社は近年、買収を通じた病院経営に進出。単なる投資企業と違い、高い研究開発能力と充実した医薬品ポートフォリオが事業の多角化を支えていることから、中国医療業界の代名詞的存在とBOCIは評価している。今後もM&Aを通じて病院経営事業を積極拡大し、病床数は13年末の約2000床から16年末には少なくとも8000床に拡大すると予想。業界バリューチェーンのリーダーとしての地位を一層強化するとみて、同社の目標株価を30.38HKドルに設定し、「買い」の判断を付与した。

このほかでは、輸液・輸血セットや注射器などの使い捨て医療製品の製造販売大手、山東威高集団医用高分子製品股フン有限公司 (ウェイガオ・グループ、01066)や、販売ネットワークに強みを持つ上海医薬集団股フン有限公司 (シャンハイ・ファーマスーティカルズ、02607)、および康哲薬業控股有限公司(チャイナ・メディカルシステム、00867)を推奨している。