香港オフィス市場の“分散化”が追い風、本土開発事業が今後の成長エンジンに
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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01972 | 太古地産(スワイヤ・プロパティーズ) |
20.75 HKD (02/19現在) |
株価 企業情報 チャート |
香港島東地区のオフィス賃貸市場で独占的地位にある太古地産について、BOCIは「香港市場の分散化トレンド」による恩恵を見込んでいる。同社の主力物件の一つ「パシフィック・プレース」の賃料相場はやや軟化しているが、BOCIは予想NAV(1株当たり純資産価値)を43%下回る同社の現在株価が、すでにこの点を織り込んだとの見方。予想NAVに対するディスカウント率が香港不動産投資セクターの平均39.5%を上回るとし、同社のバリュエーションがこの先、香港島東の力強い賃料相場を反映した水準に近づくとみている。また、予想NAV比で30%のディスカウント水準に目標株価を設定した上で、同社株価の先行きに対して強気見通しに設定している。
香港島東のオフィススペースは、伝統的なビジネスエリア(香港島セントラルやワンチャイ/コーズウェイベイ、九龍側の尖沙嘴)を除けば最も人気が高い。インフラ施設の充実や交通の利便性の高さ、さらに店舗や住宅、ホテルを含む不動産ポートフォリオのバランスの良さなどが理由だ。太古地産が香港島東に保有する物件は950万平方フィート(保有権益換算)に達しており、同社の投資不動産の延床面積に占める割合は41%(香港に限ると66%)。総資産価値ベースでは同社全体の33.3%に上る。また、香港島東のオフィス物件は空室率が低く(2013年末にわずか1.6%)、過去の金融危機下においても賃料相場の抵抗力が最も強かった。BOCIは同地区の物件供給量が限られることを理由に、今後もこうした傾向が続くとみている。実際、香港島東と伝統的なビジネス街との賃料相場の格差は縮小傾向にあり、香港島東の同社オフィス物件の入居率も13年に95-100%に達した。
今後は香港の九龍東と中国本土での事業拡大期待が強い。本土の完工済み投資不動産の延床面積は向こう3年間で41%増加する見通しという。同社の本土事業は新鴻基地産発展(00016)など、他の香港系デベロッパーに比べて出遅れているが、ブランド力の高さが強み。BOCIは力強いブランドイメージとバリュー創出面での実績を理由に、地方政府の支援を得やすいとし、新規開発用地の取得における同社の優位を指摘している。なお、14年には四川省成都における大慈寺開発プロジェクトが支援材料になる見通しという。
一方、最近の10年物米国債利回りの上昇にもかかわらず、BOCIは香港のオフィス賃貸市場に対してやや慎重。14年の同賃貸利回りが緩やかな上昇ペースにとどまるとみている。香港のマンション相場の軟化による影響や、短期HIBOR(香港銀行間貸出金利)の上昇見通しが理由。BOCIは同社の潜在的なリスク要因として浮動株比率の低さに起因するボラティリティーの高さを指摘しながらも、株価の先行きに対して強気見通しを明らかにしている。
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