2月14日
生保業況の14年の回復を予想、収入保険料や投資収益が成長加速へ

中国保険セクターでは過去3年にわたり、規制強化や資産運用商品の競争激化を背景に生保部門が低迷した。損保部門が引受利益の縮小に直面しつつも安定成長を遂げる半面、生保は新契約保険料の伸び率減速や解約率の上昇、投資収益率の低下で苦戦を強いられた。ただ、BOCIは2014年の段階的な業況回復を予想。生保部門の複雑な業務変革や損保部門の利益率低下を見込みながらも、収入保険料、投資収益、新契約価値などの点で大手各社の成長率が加速するとみている。また、セクター全体の長期見通しを楽観するとともに、主要保険銘柄の現在株価が7年ぶり低水準にあると指摘。セクター全体に対する従来の中立的見通しを強気に引き上げている。

生保市場では業況回復に向けた明るい兆しが見られ、14年第1四半期には市場全体の保険料収入の伸びが加速した。規制強化を受けて2011年以降低迷していたバンカシュアランス(保険商品の銀行窓口販売)の初年度保険料も、戦略転換を背景に通期目標の達成に向けて好スタートを切った。生保各社は14年も戦略見直しを継続するとみられるが、第1四半期の段階でその初期効果が示された格好。これに伴い、新契約価値の力強い伸びが期待できる状況となった。BOCIは生保全体の14年の保険料収入が前年比10.2%増加するとみている。

また、14年には投資収益が上向く可能性が高く、主力商品である配当付保険の販売増につながる見込み。配当付保険の利回りは公開されていないが、BOCIは投資収益率の回復に伴い、同保険の利回りが14年に4%を超え、5年物定期預金並みの4.75%に達する可能性を指摘している。

14年には政策環境が明らかに逆風となる可能性も低いとみられている。中国保険監督管理委員会(CIRC)による保険料率の段階的な自由化や解約払戻金の高い商品を対象とした規制導入は逆風だが、資産運用規制の緩和や税繰り延べ型の年金スキームの導入はセクター全体にプラスとなる見通しという。

一方、中国政府が進める影の銀行(シャドーバンキング)規制は金融セクター全般にマイナス影響を及ぼす見通し。ただ、BOCIは保険セクターの信用リスクはその他金融部門に比べて小さいとの見方。その理由として相対的に慎重な投資姿勢を挙げている。

保険セクターの潜在的なリスク要因は保険料率の自由化に伴う悪性競争や、競争激化を受けた損保部門の引受損失の発生、本土株式相場の悪化による影響など。ただ、BOCIは収入保険料や投資収益の回復を見込むとともに、主要銘柄のバリュエーションの低さを指摘している。個別では戦略見直しを継続している銘柄を有力視し、中国太平洋保険(02601)や中国人寿保険(02628)の先行きに対して強気の見方。他に総合金融グループ中国平安保険(02318)に対しても強気の見通しを明らかにしている。