1月7日
需要減速も生産力抑制で需給改善へ、南部・中部のセメント市況を楽観

中国政府が過剰設備問題の是正に力を入れる中、BOCIはセメント生産力の伸び率鈍化が川下需要の減速をカバーする形で、14年も需給の改善が進むとみている。ただ、その一方で、地方債務問題の深刻化がインフラ投資に関する規制強化につながる可能性や、一部地域での供給過剰に言及し、セクター全体に対する中立見通しを据え置いた。個別では生産力の伸びが限られる地域や、地方政府財政が健全な地域に生産拠点を置く銘柄を有力視。需要回復が顕著で、生産力の上積みも限定的な南部および中部の市況を楽観し、東北部や西北部に対しては慎重スタンスを維持している。また、トップピック銘柄を安徽コンチセメント(00914)から華潤セメント(01313)にシフト。華潤セメントの2014年の利益見通しがより明確なこと、現在株価の値ごろ感が相対的に強いことなどをその理由としている。

中国国内のセメント需要は13年に前年比9.5%増の23億9000万トンと、BOCIの予想と市場コンセンサス予想をそれぞれ3.9%、6-8%上回った。7月以降はインフラ建設の加速や予想以上の不動産市場の好況、さらに生産力の抑制を背景に、東部、南部でサプライズとも言えるセメント価格の上昇が見られた。

14年について、BOCIは「需要より供給サイドが価格動向を左右する」との見方だ。同年の需要見通しを前年比5%増の25億1000万トンに小幅に上方修正するとともに(市場予想は同6-7%増)、業界全体の年産能力の伸びが前年比45%減の8400万トンにとどまると予測。需給バランスの改善傾向が続く見通しを明らかにした。生産力の抑制を促す要因として、環境汚染対策に伴う旧式設備の淘汰や建設コストの増大、過剰設備是正策、石灰石資源の逼迫などを挙げている。

BOCIは◇生産能力の伸び◇大気汚染対策◇高速道路インフラの開発潜在力◇地方政府財政――などの視点から、各地のセメント市況を分析。その結果、陝西、甘粛、貴州、遼寧各省の市況に対して慎重見通しを示す一方、広東省に対して最も楽観的な見方を明らかにした。地区別では北西部(新疆ウイグル自治区、甘粛省)、南西部(雲南省、貴州省)で生産能力の増大が最も顕著になるとし、その他要因を考慮した上で東北部の市況に対して最も慎重。地域視点で個別銘柄を見た場合、安徽コンチセメントが最も有利となり、逆に山水セメント(00691)、西部セメント(02233)には不利になるとした。

BOCIは華潤セメントを14年のトップピック銘柄に据え、安徽コンチセメントの株価の先行きに対しても強気見通しを継続した。一方、西部セメントに対しては陝西省市場に対する慎重見通しなどを理由に、これまでの強気を弱気に修正。山水セメントに対しても山東、遼寧、山西各省のさえない市況見通しを理由に、強気見通しを中立的に引き下げている。