13年1-9月期の新規受注が21%の伸び、地方債務問題による影響は限定的

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03311 中国建築国際(チャイナ・ステート・コンストラクション) 12.10 HKD
(10/10現在)
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中国建築国際の2013年1-9月期の新規受注は前年同期比20.6%増の406億2000万HKドルと、早くもBOCIの通期予想の94%を消化した。同社株価は9月、中国の地方政府債務が倍増したとのうわさを背景とする「BT(建設・移管)プロジェクトの代金支払い遅延」への警戒感から調整したが、BOCIは実際のところ、年初からの売掛債権回収額がすでに13年通期目標を超えたと指摘。さらに前年通期実績を79%上回ったとしている。また、過去の実績や経営陣の慎重な回収計画に言及し、2014年にはさらに回収額が膨らむとの見方。その結果、短期的な資金調達の必要性が後退するとし、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

同社の9月末の受注残高は790億9000万HKドルと、12年通期売上高の3.47倍相当に達した。うちインフラ・プロジェクトが前年同期比48%増の183億元、マカオでの建設プロジェクトが同217%増の27億9000万HKドル。また、9月単月の受注は前年同月比349%増となる32億3000万HKドルで、うち江蘇省政府を発注先とする住宅移転プロジェクトが28億1000万HKドルを占めた。このプロジェクトは工期2年で、支払い期限はその2年後。BOCIによれば、粗利益率は少なくとも15%と、他の保障性住宅プロジェクト(中国政府主導の低中所得世帯向け住宅開発)と同水準に達する見通しという。

中国で地方政府の債務問題がくすぶる中、9月には期限どおり、河北省唐山市政府から4億1900万元、重慶市政府から2億4700万元の支払いを受けた。BOCIによると、1-9月期のBTプロジェクトの代金回収額は持ち分換算で16億5000万元に達したもよう。総額では少なくとも35億元に上り、13年通期目標の30億元を上回った。BOCIはBTプロジェクトの受注残高と代金回収スケジュールを考慮した上で、14年の回収額が前年比倍増するとの見方だ。ちなみに持ち分換算のBTプロジェクトの回収額は11年に4億8000万元、12年に9億2100万元だった。

一方、傘下の遠東環球(00830)の1-9月期売上高は前年同期比33%増の12億HKドル、営業損益は前年同期の841万HKドルの赤字から1580万HKドルの黒字に転換した。1-9月期の新規受注は13億HKドルと、通期で18億HKドルの自社目標の達成が視野に入った。遠東環球の新規受注の6割は北米。ただ、遠東環球は昨年買収したガンマ・インターナショナル(持ち株比率株式55%)を通じて北米の受注の大半を得ているため、北米部門の遠東環球への利益寄与は限られる見込み。また、中国建築国際に対する遠東環球の利益貢献は13年6月中間期に全体のわずか2.7%にとどまっており、BOCIはいずれにせよ、中国建築国際に及ぼす影響は限定的との見方を明らかにしている。