10月8日
設備稼働時間の増加で採算性改善、向こう3年間35-50%の利益成長見通し

香港市場では年初から、中国本土の風力発電銘柄が全体相場を50-101%の幅でアウトパフォームしている。設備稼働時間数(13年上期に101-235時間)の伸びに伴う採算性の改善が背景。BOCIは既存設備の稼動時間数に一段の拡大余地があるとし、さらに新規設備の操業開始が2014年の収益成長を支えると予想。主要3銘柄、龍源電力(00916)、華能新能源(00958)、中国大唐集団新能源(01798)の利益成長率が13-15年に年率平均35-50%に達する見通しを示した。また、再生可能エネルギー向け追加費用の引き上げに伴う財務の改善や発電制限措置の緩和を受け、増益率が増収率を上回るとみている。風力発電部門を対象とした電気料金値下げの可能性は依然残るが、BOCIは力強い収益の伸びや採算性の向上を予想。風力発電セクターのカバレッジを開始し、強気の見通しを示した。個別では龍源電力集団を選好。業界最大手としての地位や電力価格の調整に対する抵抗力の強さ、キャッシュフローの健全性などがその理由。

14年には設備稼働時間数の増加ペースが減速する半面、新規施設の稼動がセクター全体の収益成長エンジンとなる見込み。BOCIによると、龍源電力、華能新能源、中国大唐集団新能源の総設備容量は13-15年にそれぞれ年率平均15.3%、22.3%、10.5%増加する見通しという。また、すでに認可を受けた新規プロジェクトを調べた結果、制限措置が存在せず、ハイリターンが期待できる地域の比重は、龍源電力集団が16%と最大。以下、華能新能源が8%、中国大唐集団新能源が3%だった。

一方、主要3銘柄の13年通期の稼動時間数について、BOCIは順に2110時間、2055時間、1907時間と予測し、15年には2251時間、2248時間、2054時間への増加を見込んでいる。13年上期に見られた稼動時間数の回復は主に、発電制限の緩和によるものだが、地域別では送電インフラの不備から、特に内モンゴル自治区と吉林省で一段の回復余地は限られるとの見方。河北省や遼寧省ではRPS(電力会社などに一定量の利用を義務づける制度)の導入見通しが追い風になるとしている。

風力発電セクターに関しては電力価格引き下げの可能性が嫌気されているが、BOCIは「実際に値下げが行われる可能性は低い」との見方。地域格差の是正に向け、電気料金や設備稼働率が高い雲南省と貴州省に限って調整が行われる可能性を指摘した。仮にこの方式が採用された場合、相対的に影響が大きいのは華能新能源。この2省で1メガワット時(MWh)当たり100元の値下げが実施された場合、同社の15年純利益は4%目減りする(龍源電力は2%、中国大唐集団新能源は1%)。また、全面的に値下げが行われた火力発電セクターと違い、風力部門では新規プロジェクトだけが対象になるとの予想。仮に全国的に1MWh時当たり50元値下げされれば、主要3銘柄の同年利益の目減り幅は5-17%で、龍源電力に対する影響が最も小さいとの試算結果を明らかにした。