7月15日
主要2銘柄の比較でアンガンが優位、13年通期の黒字転換に期待

鞍鋼股フン有限公司(アンガン・スチール:00347)はこのほど、2013年6月中間期に7億200万元(EPS:0.097元)の黒字に転換する見通しを明らかにした。BOCIによれば、この数字から算出した4-6月期の予想純利益は1億6200万元。前四半期比では70%の減益となるものの、市場コンセンサス予想を上回る水準に達し、鉄鋼市況が低迷する中での同社の収益力を示す見通しという。一方、同業の馬鞍山鋼鉄(マーアンシャン・アイアン・アンド・スチール:00323)は4-6月期も赤字を継続する見込み。BOCIは両銘柄のバリュエーションの乖離やアンガンの業績改善見通しを理由に、アンガンは長期投資向き、馬鞍山鋼鉄は短期投資向きとの見方を示している。また、鉄鋼セクター全体については中立見通しを明らかにしている。

中国鋼材市場は4-6月期も引き続き低調で、熱延広幅帯鋼(HRC)価格は1トン当たり3568元(付加価値税除外)と、前四半期比で10.4%、前年同期比で10.6%、年初比で10.2%下落。アンガンの同期決算見通しについて、BOCIはコスト管理の強化や製品構成の調整など、同社独自の要因が寄与したとの見方。同社は2012年上期に19億7600万元の純損失を計上していた。BOCIはアンガンが13年下期も黒字を維持した場合、13年通期の利益見通しを最大8億300万元に上方修正する可能性に言及した。

一方、馬鞍山鋼鉄は13年上期に続き、下期も純損失を計上する可能性が高いという。同社は1-3月期に3億8540万元の赤字を計上したが、BOCIは4-6月期の業績改善にも期待しにくいとの見方。実際に下期も赤字が続いた場合、13年通期予想を純損失5億8200万元に下方修正する可能性があるとしている。

中国鉄鋼業界に関する収益統計を見ると、大手・中堅メーカーの1-5月の利益総額は28億4000万元で、純利益率は平均わずか0.19%。5月単月の利益総額は1億4900万元と、前年同月比89.4%の落ち込みを示した。

直近の鋼材価格は前月比で上向いているものの、BOCIは一部メーカーがメンテナンス・修理目的で一部設備の稼動を停止したことや、鉄道建設投資の拡大に関する思惑が鋼材相場を押し上げたとの見方。川下需要は引き続き、全般に弱いと指摘している。

BOCIはアンガンのH株が現在、予想PBR(株価純資産倍率)0.46倍の低水準で取引されているとし、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、馬鞍山鋼鉄の現在株価の予想PBRは0.50倍に当たるとし、先行きに対する中立見通しを据え置いた。BOCIはまた、アンガンは長期投資向き、馬鞍山鋼鉄は短期投資向きとみており、その理由として◇13年通期の予想純利益に関して、アンガンには上方修正余地、馬鞍山鋼鉄には下方修正余地がある◇13年の黒字転換が期待されるアンガンのバリュエーションは馬鞍山鋼鉄との比較でプレミアムに値する――などの点を挙げている。