3年前の買収に絡む不正告発、訴訟を通じた「是正」期待で強気見通し継続

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00836 華潤電力控股(チャイナリソーシス・パワー) 17.98 HKD
(07/18現在)
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国営通信社『新華社』所属の新聞記者が、「華潤電力控股が2010年、山西金業集団を不当に高額で買収し、結果的に数十億元に上る国家資産を流出させた」と告発した。10年当時の山西金業集団株80%の買収価格は79億元で、企業全体の評価額は手数料込みで104億元。ただ、その3カ月前、大同煤鉱集団が総額52億元で山西金業買収を計画していた経緯があり、新華社記者は50億元ほど過大評価したとして華潤電力控股を非難した。同社少数株主は7月初め、香港で買収の取り消しを求めた訴訟を起こしており、8月5日には前経営陣に対する第1回目のヒアリングが行われる予定。市場では減損処理を行う可能性やコーポレートガバナンス面での不信感から、同社株が直後に急落する展開となった。BOCIは仮に不正行為を行ったとの判決が下った場合、12億HKドル相当の資産減損処理を行う可能性を指摘しながらも、過去の問題点の是正が長期収益力の向上につながると指摘。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

China Business Network(CBN)が6月初め、少数株主による訴訟関連情報を伝えた際、同社は詐欺行為を否定。一定比率以下の権益取得において情報開示は必要ないと説明した。ただ、新華社記者はこの買収に多額の資金が絡んでいることや、大同煤鉱集団による評価額とのかい離、買収前の炭鉱をめぐる状況(一部は採掘権期限切れ、一部は未認可)などに言及し、不正の証拠が出そろいつつあると指摘。同社としてももはや信任義務を無視できない段階に来たとし、一部経営者を名指し批判した。

BOCIは訴訟の結果について、「無罪」「不正裁定を受けた損失計上」「買収差し止め命令」の3つのシナリオを想定し、株価への影響がそれぞれネガティブ、中立、ポジティブになると予想。仮に証拠不十分で無罪となれば、コーポレートガバナンス問題が尾を引き、同業他社に対するPBR(株価純資産倍率)面でのプレミアムが見直される可能性があると指摘。この先の買収においても悪影響をもたらすとみている。一方、2番目のケースでは減損損失が12億HKドル(13年予想純利益の12%相当)に上ると予想しながらも、“不適切な資産額の修正”がこの先のROE(自己資本利益率)上昇に寄与するとの見方。また、3番目の買収差し止め命令が下される可能性は低いとしながらも、仮にそうなれば、不透明感の払拭が結果的に同社株の再評価につながる見通しを示した。

一方、同社と華潤ガス(01193)との合併に先立つ臨時株主総会は7月22日に開かれる予定。ただ、BOCIはシナジー効果の不足から、合併計画は両社株主によって否決されるとみており、仮に計画が白紙化すれば、両社にプラスになるとしている。

BOCIは動力炭価格の軟調を理由に、同社の単位燃料コストに関する13-15年の想定値を下方修正。これに伴い利益見通しを8-9%増額修正した。また、ファンダメンタルズ面の健全さや発電量の増加見通しなどに言及し、強気見通しを継続している。