主力4事業に長期成長期待、事業再編で経営戦略がより明確に

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03888 金山軟件有限公司(キングソフト) 12.46 HKD
(07/04現在)
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BOCIはキングソフトの北京オフィスを訪れてリサーチを実施し、オンラインゲーム、ネットセキュリティー、WPS(無線LAN機器の設定を簡素化するための機能)、クラウドコンピューティングという主力4事業の長期成長に対して確信を強めたと報告した。2012年の事業再編を通じ、より集約性が高く、インセンティブ性の高い環境を構築したことが一因。経営戦略もこれまでより明確となり、モバイルインターネット市場の今後の成長を追い風とするための態勢を整えたとみている。また、転換社債の発行がグローバル化に向けた備えになると同時に、短期借入れの返済や運転資金の補充につながると指摘。同社株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げた。長期見通しの向上に伴って30%のプレミアムを適用し、SOTP(sum of the parts)方式に基づく目標株価を上方修正している。

同社は12年に、オンラインゲーム、WPS、セキュリティソフトの3本柱にクラウドコンピューティング・サービスを加えた「3+1」体制を構築し、経営資源の再配置や社員のモチベーション向上に向けたシステムの整備を実施。さらにマネジメントバイアウト(MBO)を行った。BOCIはこうした戦略を前向きに評価し、業績向上や長期成長に向けて各事業部門の意欲が高まるとみている。

事業部門別に見ると、オンラインゲーム部門の成長けん引役は、拡張パックを投入した旗艦タイトル「剣網3(JX3)」。チーム単位のプレイスタイルや月間登録制/プレイ時間ベースのビジネスモデルが、引き続き競合相手からのユーザー乗り換えを促す可能性が高いという。

ネットセキュリティー部門については、ナビゲーションページからのトラフィックの増加や社内ブラウザの普及率の上昇が増収を後押しすると予想。また、騰訊控股(00700)が先ごろ同社株を買い増したことで、パソコン、モバイル・プラットフォームにおける両社間の提携関係が強まるとみている。

WPS部門に関しては民営企業による需要増が売り上げ拡大を後押しするとし、2013年には民営企業の貢献が政府機関の調達による貢献を上回ると予測した。また、クラウドコンピューティング部門では個人、企業の需要増が長期の成長機会につながる見通しを明らかにしている。

BOCIは潜在的なリスク要因として、モバイルインターネットやクラウドコンピューティング事業に対する投資が予想以上に膨らみ、結果的に利益下振れにつながる可能性を挙げた。ただ、主力事業の成長見通しに伴い、目標株価の設定において30%のプレミアム水準を適用。戦略的方向性の明確さやMBO完了に伴う強気見通しに言及し、この水準は適正だとしている。