7月3日
自主ブランド車の成長に期待、“中国のヒュンダイ”誕生か

中国の自主ブランド車(中国国内向けの独自開発車種)は過去10年間、販売台数および技術レベルの面で急速な発展を遂げた。同業界の特徴は民営メーカー主導で、国有メーカーの開発が相対的に出遅れていること。複数の民営自主ブランドが過去数年間の経験を経て、一定の販売収入および利益規模を確保するまでに成長した。BOCIはこうしたメーカーが今後傑出した存在となり、“中国の現代(ヒュンダイ)”が現われる可能性を指摘。中でも長城汽車(02333)、吉利汽車(00175)の成長期待が大きいとし、H株銘柄の中ではこの2銘柄を選好している。また、A株上場企業の中では上海汽車集団(600104)、重慶長安汽車(000625、B株200625)を有望視。両社の自主ブランド車部門は今のところ黒字化には至っていないとしながらも、合弁車種部門の良好なファンダメンタルズを背景に、この先の利益成長を確実視している。

国内セダン車市場における自主ブランド車種のシェアは2012年に28.4%と、04年から7ポイント上昇した。国内メーカーは買収や研究開発の強化、さらにリバースエンジニアリング(分析し模倣する手法)を通じ、パワートレインをはじめとする技術分野でゼロからの飛躍を遂げた。今のところ、自主ブランド車種は10万元を切る中・低価格帯が中心。ここ数年の合弁車種の値下がりを受け、厳しい市場競争に直面している。

自主ブランド車種の採算性は個別に様々だが、総じて民営メーカーが強く、国有メーカーは出遅れている。国有メーカーの自主ブランド車部門は後発のハンデや規模の小ささから今のところ全般に赤字。一方、複数の民営メーカーがすでに一定の収益レベルを確保しており、BOCIは「こうした企業の成長潜在力を過小評価すべきではない」としている。また、韓国自動車業界の事例を踏まえ、政策支援が自主ブランド車育成のカギを握ると指摘。中国政府がすでに、政府機関の新車調達において自主ブランド車を優先させる規定を導入したことに言及した。一方、自主ブランド車セクターの潜在的なリスク要因としては、◇国内景気の減速に伴うセダン車市況の後退の可能性◇新車購入あるいは道路通行面での規制強化に伴う売れ行き悪化の可能性――を指摘している。

個別ではH株銘柄の長城汽車、吉利汽車を選好し、うち長城汽車については利益成長の持続を予想。13年上期に前年同期比60%前後の増益決算を達成する見通しを示した。14年には新型モデルH2、H8の投入に伴い、SUV販売が飛躍的に伸びるとみている。また、中長期的には同社のHavalシリーズが本格的な海外進出を果たし、中国ブランド初の事例となる可能性を指摘した。一方、吉利汽車については、ボルボと豪部品メーカーDSIの買収を通じ、特に安全性、自動変則装置の分野で技術レベルが大きく向上したと評価。ボルボと共同開発した新規プラットフォームの貢献で、15年から急成長期に入る見通しを明らかにしている。