膨大なユーザー基盤が強み、「微信」向けモバイルゲーム事業が始動へ

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00700 騰訊控股(トウジンコウコ) 290.40 HKD
(06/26現在)
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BOCIは騰訊控股の経営陣とのミーティングを経て、同社に対する強気見通しを継続した。モバイル・インターネット分野での成長期待が背景。今後は無料通話・メールアプリ「微信(WeChat)」を通じた市場拡大やビジネスモデルの多様化が進むとみている。また、同業他社に対する優位性として利用者基盤の大きさを指摘。インスタントメッセンジャーQQの膨大な利用者数(月間アクティブユーザー8億人超)を背景とする大量のトラフィックが、成果報酬型のオンライン広告や電子商取引ビジネスの伸びを支える見通しを示した。また、オンラインゲーム部門の予想利益を引き上げたのに伴い、13年の予想純利益を3%増額修正。同時に目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを据え置いている。

同社経営陣は「微信」に関して、モバイルゲーム、広告、O2Oサービス(オンラインとオフラインとの連携)という3つのビジネスモデルに目を向けている。うちO2Oは例えばタクシー配車や映画チケットサービスなどで、O2Oと広告はいずれも中長期視点の戦略となる。「微信」は今のところ、カカオトークやLINEのように海外利用者の獲得を強化している段階にあり、経営陣は早期開拓の必要性に言及している。BOCIによれば、ユーザー獲得期は向こう12-24カ月にわたって続く見通しという。

一方、3つのビジネスモデルのうち、「微信」向けモバイルゲームではまず、ライトユーザー向けに1人用のカジュアルゲームなどを投入する見通し。カカオトークなどと同様、段階的により高度なゲームの開発を進める。単体のアプリではなく、他の開発者を巻き込んだ「エコシステム」構築を目指すという。

多くの同業他社とは異なり、SNS、ゲーム、広告、電子商取引など多角的なビジネスモデルを持つ同社はユーザー基盤の多様性も高く、BOCIはこの点で成果報酬型広告の伸びが期待できるとみている。オンライン広告市場における同社シェアは約5%。一方、パソコンのトラフィック・ベースのシェアは20%に達しており、今後の広告収入増の余地は大きい。

また、多様性を持つ膨大なユーザー基盤は電子商取引事業の展開においても有利。経営陣はマーケティング費の軽減を見込み、買収した通販サイト51buy.comの利益率が同業他社を上回るとみている。

経営陣によると、インドネシアやマレーシア、メキシコでの「微信」ユーザー開拓に伴い、13年にはマーケティング費が膨らむ見通しという。一方、同社の投資戦略は利益やトラフィック重視ではなく、アイデアおよび人材重視。経営陣はオンラインゲーム事業の高利益率が新規プロジェクトを支えるとみている。また、今後はモバイル検索などの分野に資源を振り向ける形で、経営戦略を見直す可能性があるという。