6月17日
付加価値税改革が通信業界に拡大へ、チャイナ・ユニコムにはプラス

現地紙『経済参考報』の報道によると、中国財政部は近く、「付加価値税(VAT)改革」の対象に通信サービス・セクターを含める可能性が高まっている。一般通信サービスに対するVATの税率は11%、付加価値サービス売上高に対する同税率は6%に設定される見込み。BOCIの分析によれば、通信キャリア3社に対するVAT改革の影響はまちまちで、チャイナ・ユニコム(00762)にとってはプラス、チャイナ・モバイル(00941)にとっては中立的、チャイナ・テレコム(00728)にとってはマイナスとなる見通しという。

BOCIの試算では、VAT改革はキャリア3社の中で、特にチャイナ・ユニコムにプラス。同社の場合、携帯端末取得費、相互接続費、設備投資など、VATの課税適用外となる収入の割合が相対的に高く、仮にVATの実効税率が9%以下であれば、現在の営業税と比べた節税効果が見込めるという。9%と仮定した場合、2013年の税引き前利益が5%膨らむとの試算結果が明らかになった。

また、チャイナ・モバイルにとって、VAT改革による影響は中立的。同社は税引き前利益率が高く、税引き前利益そのものが大きい点で、VAT改革の影響を受けにくいという。また、次世代4Gネットワークの構築に向け、2013年に巨額の設備投資(13年の対売り上げ比率は33%)を計画している点で、VAT適用対象となる収入が相対的に縮小する。BOCIは2013年の同社設備投資を1900億元とみているが、仮にこの金額が予想を下回った場合、VAT改革が税負担増につながる可能性もあるとしている。

一方、チャイナ・テレコムにとっては逆風となる可能性が高く、BOCIはその理由として以下の2点を指摘している。◇VAT適用対象外になるとみられる人件費の対売り上げ比率が16%と、ユニコムの11%、モバイルの6%を上回る◇設備投資に対して慎重スタンスを取っており、対収入比率が24%と、ユニコムの26%、モバイルの33%を下回る――。BOCIの試算では、仮にVATの実効税率が8%を上回った場合、チャイナ・テレコムにマイナス影響が及ぶ見込み。8%と仮定した試算では、税引き前利益が5%目減りするとの結果が示された。

ただ、BOCIはこの試算結果について「かなり変動要因が多い」と付け加えている。実際には、VAT納税額は各社のコスト構造に沿って算出されるため、内部管理の強化や実際的なアウトソーシング戦略などがVAT実効税率の低減につながるという。

BOCIは引き続きチャイナ・ユニコムを通信セクターのトップピックとしている。また、チャイナ・テレコムについても株価の先行きに対して強気見通しを据え置いた。一方、チャイナ・モバイルについては業績下振れリスクを指摘。配当利回りが4%の高水準にあるとしながらも、国内の景気不透明感が調整リスクにつながる可能性を指摘している。