利益上振れ期待は限定的、本土旅行者数の伸び率減速とコスト増で

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00178 莎莎国際控股(ササ・インターナショナル) 7.92 HKD
(06/13現在)
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BOCIはササ・インターナショナルに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げた。利益上振れ余地が限られる見通しや、現在株価がほぼ適正水準にあるとの見方が理由。2013-15年に年率平均22%の利益成長を予想しながらも、中国本土から香港を訪れる旅行者数の伸びが10%台に減速している現状や営業コストの増加見通しから、利益上振れの可能性は低いと指摘している。また、現在株価が14年予想PER24倍に達する中(過去の高値は同26倍)、再評価の余地も限られるとみている。

同社は6月20日に13年3月本決算を発表する予定。BOCIは同期利益について前年比20%増の8億2800万HKドルを見込んでおり、これは市場コンセンサス予想とほぼ同水準となっている。また、売上高に関する予想は同23%増で、既存店売り上げの予想伸び率は15-16%、香港・マカオの新店舗の予想伸び率は15%。製品構成の改善を理由に粗利益率が前年を0.9ポイント上回る46.1%に達すると予想しながらも、営業コストの増大(人件費、店舗賃料、償却費など)が響くとの見方。純利益率は0.3ポイント低下し、10.5%にとどまるとみている。

香港政府が今年3月、旅行者による乳児用ミルクの購入制限措置を導入したことで、本土からの旅行者数は同月に前年同月比13%の伸びにとどまった(1-2月は前年同期比23%増)。4月には同18%増へ回復傾向を示したが、BOCIは“ゴールド・ラッシュ”(金相場下落を受けた本土消費者の金大量購入)が押し上げ要因になったとし、加速傾向は長くは続かないとの見方。こうした状況から、同社の14年、15年の増収率がそれぞれ前年比20%、17%に減速すると予想し、既存店売り上げ伸び率についても同14%、12%を見込んでいる。

一方、14年、15年の予想増益率はそれぞれ前年比23%、21%。売り上げの伸びと粗利益率改善が寄与し、純利益率は14年に0.2ポイント、15年に0.4ポイント改善するとみている。ただ、営業コストの増大圧力が続く中、予想利益率の上方修正余地は限られると指摘。現在株価水準を考慮し、再評価の余地も限定的とした。また、同社の潜在的なリスク要因として、◇中国本土の個人旅行関連規定の強化を受けて旅行者数の伸びが予想以上に減速する可能性◇人件費や店舗賃料の高騰に伴う予想以上のコスト増――を挙げ、目標株価を14年予想PER23倍の水準に据え置いている。