5月28日
5月のカジノ総収入の23%増を予想、当面の支援材料は限定的か

BOCIはマカオの5月のカジノ総収入について、前年同月比22.7%増の320億パタカを見込んでいる。広東省における5月初めの連休延長効果や前年同月実績の低さが理由で、この予測値は市場予想の上限。4月のカジノ総収入が市場予想の下限にとどまったことで、市場はより慎重見通しに傾いている。ただ、BOCIは5月半ばまでおよそ1カ月に及んだカジノ銘柄の株価上昇が、すでに5月の好成績を織り込んだとの見方だ。また、HSBCが発表した中国の5月のPMI(製造業購買担当者景気指数)速報値が下落したことで、カジノ銘柄もその後調整したが、一部銘柄は依然、新規投資を考えた際の値ごろ感に欠けるとし、セクター全体の先行きに対して中立的な見方を継続している。

2013年通年のカジノ総収入について、BOCIは前年比16.3%増の3540億パタカを予想。5月単月では市場予想(310億パタカ)の上限に当たる320億パタカになるとみている。

3月のカジノ総収入が前年同月比25.4%増の313億パタカと力強い伸びを示した後、証券各社は強気見通しに転じ、13年通年予想を前年比15-17%増に上方修正した。カジノ銘柄の株価はその後、4月半ばから5月半ばまで約1カ月にわたって大きく上昇したが、BOCIは週末が5回あったことを3月の好調の一因として指摘。月次統計の動きは数値上の変化であって、カジノセクターのVIP部門のファンダメンタルズには変わりはないとしている。また、4月のカジノ総収入は前年同月比13.2%増。証券各社が楽観見通しに転じていたことで、この伸び率は市場予想(15-16%)の下限にとどまった。

5月は本来、広東省での連休延長効果や前年同月の数字の低さから、楽観見通しが高まるべきタイミング。ただ、4月の統計数字に対する失望感から、市場はより慎重姿勢に傾き、5月のカジノ総収入に関するコンセンサス予想は同17%増となっている。

BOCIは5月の総収入について、300億-320億パタカが適正としながらも、この数字は13年通年の市場コンセンサス予想(前年比15-17%増)にほぼ見合うペースと受け止めている。カジノ銘柄はHSBCの5月のPMI速報値が49.6(50が好不況の分かれ目)に下げたことで調整に転じたが、BOCIは長期的な経済成長持続を重視する中国の経済改革が、短期的には犠牲を強いる見通しに言及。当面の支援材料は限られるとみて、カジノ銘柄の調整がしばらく続くと予想している。また、こうした見方から、カジノセクターの先行きに対する中立的な見方を継続した。

BOCIのトップピック銘柄はサンズ・チャイナ(01928)と銀河娯楽(00027)。2015年に新たなカジノリゾートが開業するまでの間、コタイ地区および一般客向けカジノ業務における両社の存在感が続くとみている。