負債比率低減に向け増資の可能性、EPS希薄化も長期的にプラス

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03323 中国建材股フン有限公司(チャイナ・ナショナル・ビルディング・マテリアル) 9.09 HKD
(05/14現在)
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BOCIはこのほど、中国建材に対する訪問リサーチを実施し、市場が注目している3つのポイント、◇増資計画◇負債比率に関する見通し◇業務統計――について最新情報を報告した。同社が実際に割当増資に動く可能性が高いとした上で、一定のEPS希薄化を見込みながらも、長期的なプラス効果を指摘。同社株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。

BOCIによると、同社の複雑な経営構造や上場規則を取り巻く不透明感から、短期的に本土A株市場への新規上場が実現する可能性は低く、香港H株の割当増資に動く可能性がより大きい。その場合、新株発行規模は発行済みH株総数の最大20%(5億6000万株)となり、直近終値(5月14日の9.09HKドル)に基づく資金調達額は最大52億HKドル規模。これに伴い、純負債比率は320%から284%に低下する。また、このケースにおいて、財務費用の削減効果を織り込んだEPS希薄化率は11.5%前後にとどまるという。BOCIは現時点で、13年、14年の財務費用をそれぞれ83億5000万元、87億7000万元と予想。純負債比率の低減には増資が唯一の手段になると指摘し、仮に増資を行わなければ、14年の純負債比率が300%になるとの試算結果を明らかにしている。

一方、2013年1-3月期の純負債比率は前期を下回ったが、これは債務借り換えを実施したため。有利子負債の実効利率はすでに5.77%の低水準にあり(国内の貸付基準金利は6%)、これ以上の金利削減余地は限定的となった。同社経営陣は13年に財務費用の増大を見込む半面、純負債比率は低下するとの見通しを示している。

最新業務統計に目を向けると、同社傘下のセメントメーカーのうち、中国聯合セメントの4月の1日当たり出荷量は前月を上回る25万トン。南方セメント、北方セメントの同出荷量は横ばいの30万トン、23万トンだった。BOCIはセメント部門全体の4月の出荷量が3030万トン(1-3月期は5010万トン)に達したとみている。ただ、平均販売価格は低調で、中でも南方セメントが1トン当たり241元と、1-3月期比でわずか3元の上昇幅。中国聯合セメントも同5元の上昇にとどまり、西南セメントは横ばい。北方セメントだけが同28元の値上がりを記録した。一方、石炭価格の軟化とコスト管理の強化で、中国聯合セメントおよび南方セメントの1トン当たり粗利益は改善し、4月にそれぞれ53元、42元と、1-3月期を13元、6元の幅で上回った(前年同月比で12%、30%低下)。BOCIによると、1-4月の同社セメント部門全体の粗利益は41億元と、通期予想の22%相当。続く5月には南方セメントの平均販売価格の上昇が加速するとみられる半面、主力市場が雨季を迎える西南セメントは価格上昇が期待しにくいという。