13年1-3月期に16%増益、利益成長減速も資産の質が改善

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03618 重慶農村商業銀行股フン有限公司(チョンチン・ルーラル・コマーシャル・バンク) 4.15 HKD
(04/23現在)
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重慶農村商業銀行の2013年1-3月期の純利益は前年同期比15.6%増の16億1600万元と、BOCIの予想通りの水準に達した。純金利マージン(NIM)の縮小が資金利益に影響したものの、金利派生資産の増加や手数料収入の伸びが2桁増益を支えた。BOCIは1-3月期の利益成長率の減速が短期的に株価の重しとなる可能性に言及しながらも、同行の独自性を理由に、H株銀行セクターにおいて長期的に際立った存在となる可能性を指摘。株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。

1-3月期には主にインターバンク資産および関連投資の拡大を支えに、金融派生資産が前期比11.8%増加した。これが利ざや縮小によるマイナス影響を軽減。純金利収入に当たる資金利益は前年同期比18.6%の伸びを示した。

純金利マージンは3.31%と、前期を29ベーシスポイント下回った。BOCIはその原因として、◇不動産担保貸付(12年末時点で貸付残高の20.3%に相当)に関して一回性の金利再設定を行い、利率を引き下げたこと◇インターバンク資産をはじめとする非貸付資産の拡大が利ざや全体を押し下げたこと――などを指摘している。

一方、1-3月期には純手数料収入が前年同期比18.4%拡大した。中国銀行業監督管理委員会(CBRC)が「銀行手数料の管理強化」に動いたことで、純手数料収入は一時減速傾向にあったが、12年4-6月期以降回復しつつあり、政策要因によるマイナス影響が段階的に縮小していることをうかがわせた。中でも決済、銀行カード、資産運用など各種業務の好調が手数料収入全体の伸びに寄与した。

不良債権残高は13年3月末時点で14億3000万元と、12年末の17億元から縮小。不良債権比率もこの間に0.98%から0.78%に改善し、重慶市の銀行セクターの平均レベル(12年末に0.47%)に接近した。資産の質が引き続き改善傾向を示す中で多額の引き当てを行った結果、引当率は430.6%へ80ポイント上向いている。

資産規模の拡大や13年年初に施行された新たな自己資本規制を受け、Tier1比率(中核的自己資本比率)および総自己資本比率は3月末にそれぞれ11.09%、12.89%に低下した。ただ、現在の自己資本比率は政府当局が定める基準をかなりの幅で上回っており、BOCIは今年いっぱい資本増強の必要性は薄いとみている。

同行のリスク要因は、◇地理的な制約が一段の資産拡大を難しくする可能性◇人件費をはじめとするコスト増大の可能性――など。BOCIは現在株価が13年予想PBR(株価純資産倍率)0.85倍、同予想PER4.92倍と、H株銀行銘柄の中では6番目の水準にあるとしながらも、同業銘柄に比べた優位を指摘し、株価の先行きに対して強気の見方を据え置いている。