【今日のまとめ】
- 原油価格が50ドルにさしかかった
- 石油輸出国機構(OPEC)が減産の話し合いを開始
- サウジアラビアは来年以降、原油高に持って行くインセンティブがある
- 米国のリグカウントの減少はタイムラグをもって生産高に反映される
- ハリケーンに注目
- 原油高でシェール業者はヘッジの好機が到来
50ドルにさしかかった原油価格
先週、原油価格が一時50ドルを超えました。
そこで今回のレポートでは、原油市場を巡る様々な要因について整理してみたいと思います。
石油輸出国機構(OPEC)が減産する?
まずこのところの原油価格の上昇は、石油輸出国機構(OPEC)が減産に合意するのではないか?という観測によるところが大きいと思います。
そのOPECですが、11月末に会議を持つ予定です。
メンバー各国の利害は対立しており、減産にこぎつけるのは容易ではないと思います。しかし以前に比べれば、「これ以上、増産しない」という了解を各国から取り付けることは、幾分、やりやすくなっていると思います。その理由は、すでに各国は生産能力の上限に近い水準で生産しているからです。
中でもサウジアラビアは抜きん出た存在であり、サウジアラビアの考え方ひとつでかなり決まってしまう部分が大きいです。
サウジアラビアの利害
そのサウジアラビアは、早ければ2017年に国営石油会社、サウジ・アラムコを新規株式公開(IPO)する予定です。
原油価格がダダ下がりしている状況では有利にIPOを進めることは出来ません。そう考えれば、IPOが近づくにつれ、サウジアラビアは原油価格を高く維持する動機が強まると思われます。
米国のシェール業界の動向
次に2014年夏以降、世界の原油需給を大きく崩す原因となったアメリカのシェール業界について見ます。
原油価格が低迷したので、油井は1,600本をピークに次々に休止し、今はピークの4分の1の400本前後で推移しています。
原油生産の減少は、リグカウントの減少より幾分、タイムラグがあります。その関係で、いまちょうど減り始めたばかりです。
在庫は、原油の生産だけでなく消費量にも影響されます。少し減少に転じているものの、まだまだ在庫水準は高いです。
ハリケーンに注目
いま米国東海岸を大型のハリケーン、「マシュー」が襲っています。今日までのところ、フロリダ州、ジョージア州などにおけるガソリン価格には影響は出ていません。
しかしハリケーンが東海岸の沖合に居座るということになると原油タンカーが積荷を降ろす作業ができなくなるなど、影響が出る可能性もあります。
シェール業者にヘッジの好機到来
シェール業者の視点からすれば、原油価格が50ドルを超えてきたのは、たいへん歓迎すべきことです。
この水準で将来の生産分の価格を、先物を売ることでロックインすれば、パーミアン・ベイシンなどのロー・コストの生産地域で操業している業者に関しては採算のメドが立つことを意味します。
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