4月17日
より厳格な不動産税の年内導入を見込み、セクターの見通しを中立に維持

中国の内閣に当たる国務院が新たな不動産引き締め政策、通称「国五条」を打ち出したのに続き、地方政府も相次いで個別の対応を明らかにした。これらは主に以下の点を強調している。1)中国人民銀行(中央銀行)支店は、2軒目の住宅購入に対する頭金と金利の引き上げが可能。2)中古住宅の販売にかかるキャピタルゲイン税20%を厳格に徴収する。3)地方政府は住宅購入規制措置を引き続き推進し、規制対象地域が中心部に制限されている場合は行政区全体に拡大。4)不動産市場に対する管理をより厳格に行う。

ただし、多くの都市で不動産政策の細則は未だ施行されていないのが現状。2軒目の住宅購入に伴う住宅ローン規制は北京市のみで実施されている。他の都市もいずれ北京に続くとみられている。

3月の住宅成約面積の伸びは13年1-2月に比べて鈍化したとは言え、未だ比較的高水準にある。これには、20%のキャピタルゲイン課税を初めとした新規制実施前の駆け込み需要が影響している。

BOCIは13年4-6月期の成約面積の伸び率について、前年の比較対象の数値が高まること、規制強化の効果が現れることから、さらに鈍化すると判断。2軒目の住宅ローンの頭金比率を70%に引き上げた北京市では、新規および中古物件の取引面積が急激に落ち込んだ。4月1-2週の取引面積は3月3-4週に比べて減少している都市が多く、BOCIの独自調査によれば、3月同様に安定的な成約状況を示しているのは一部の開発業者に限られるという。

13年1-3月期の経済成長率が予想を下回ったことを受け、市場は中国政府がこれ以上の不動産引き締め策を打ち出すことはないと判断している。しかしBOCIは、現在上海と重慶で試験導入されているものとは別の、より厳しい不動産税が年内に発表されると想定している。

中国不動産セクターの現在株価は13年予想NAV(1株当たり純資産価値)比で45%のディスカウント水準と、08-11年の底値である50-60%に近づいている。しかしながらBOCIは、先行きの不透明感を理由にセクターに対して中立的な見方を維持。1)平均住宅価格が急激に上昇すれば、さらなる引き締め策を招き、複数都市で2軒目以降の住宅購入頭金比率が引き上げられる。2)新たな不動産税が年内に発表される、などの点を踏まえ注視している。このため、セクター内では一定の成長率と配当利回りを維持し、一等地のプロジェクトを扱うブランド力の高い大手銘柄のみへの投資を推奨。13年のトップピック銘柄として華潤置地(01109)を挙げている。