【今日のまとめ】

  • ネット広告市場では、特にモバイル広告に成長余地がある
  • 画像や動画の消費は伸びる
  • それらが乗りやすい、柔軟なメッセージング・プラットフォームが注目される
  • オンライン・ゲームのビジネスは市場で与えられる評価が低い

米国のインターネット広告市場

米国のインターネット広告市場は600億ドル市場に成長しました。

その過半数のシェアはアルファベット(ティッカーシンボル:GOOGL)フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)の2社によって占有されています。

この2社の牙城に食い込むためには、どうすればよいのでしょうか?

モバイル広告には成長余地がある

まずメディアを消費している時間と広告売上高のミスマッチを見ると、まだまだモバイル広告に成長の余地があることがわかります。

したがってモバイル広告を攻めるというのが理屈に適った戦略になります。また米国市場に比べてグローバルのモバイル広告市場はまだまだ成長の余地があります。

因みに日本のモバイル広告市場の成長は、次のように予想されています。

テキストから動画へのシフト

次にモバイルの中でも、とりわけ画像や動画の成長余地が大きいとされています。その理由は、シニア世代はおもにテキストでコミュニケーションするのに対し、若年層は、どんどん動画によるコミュニケーションへとシフトしているからです。

下は若者に人気のあるスナップチャットの一日当たり動画視聴回数のグラフです。

米国のユーザーの1日当たりSNS滞在時間を見ても、このトレンドを確認することができます。インスタグラムやスナップチャットのような、画像によるコミュニケーションの滞在時間は増えています。

柔軟なメッセージング・プラットフォームの必要性

その意味で7月に日米同時上場が予定されているLINEは興味深いと思います。なぜなら同社のメッセージング・プラットフォームは柔軟性に富んでいますし、早くからスタンプに代表される非文字型コミュニケーションでユーザーの心を掴んできたからです。

LINEの売上高はゲーム、スタンプ、LINE広告などから構成されています。

LINEの柔軟性に富んだプラットフォームは、単なるモバイル広告だけでなく、様々な有料コンテンツを提供するインフラストラクチャとして適しているという風に捉える事が出来ると思います。

ゲームのビジネスは株式市場での評価は低い

ただオンライン・ゲームは流行り廃りがあるし、飽きられてしまえばユーザーは離反します。

投資家はそのことを良く心得ているので、一般に、ゲームに依存するタイプの企業には高い評価を付与しません。

LINEの場合、マンスリー・ペイド・ユーザー(MPU)というユーザー尺度をモニターする必要があると思います。

世界のネット企業の中でのLINEの立ち位置を確認しておきましょう。最新の仮条件(28.5ドル~32.5ドル)の上限に基づいたLINEの想定時価総額は68.2億ドルになります。

LINE株はニューヨークと東京で同時に上場されます。ニューヨークでのティッカーシンボルはLNで、東証のコードは3938です。過去の一株当たりの業績を、円建てとドル建ての両方で示しておきます。

【略号の読み方】
DPS 一株当たり配当
EPS 一株当たり利益
CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
SPS 一株当たり売上高