12年本決算は4%の小幅増益、国内車両入札の早期再開に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01766 中国南車股フン有限公司(チャイナ・サウス・ロコモーティブ・アンド・ローリング) 5.51 HKD
(04/02現在)
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中国南車の2012年12月本決算は売上高が前年比12.1%増の904億5600万元、純利益が同3.8%増の40億900万元と、予想通りの水準を達成した。海外市場の開拓努力が実を結び、海外売り上げが前年比39.0%の伸びを示した(国内は9.9%増)。ただ、中国国内では鉄道部(省に相当)の解体・再編の影響で、鉄道システム入札が今も再開されていない。BOCIは2013-4年の予想EPSを0.34元、0.39元に設定し、目標株価を下方修正。同社株価の先行きに対して「慎重ながらも強気」の見通しを示している。

12年通期には粗利益率が前年を0.83ポイント下回る18.25%にとどまったが、これは主に製品構成の変化によるもの。利益率の高い機関車部門の増収率が19.0%に減速したほか、同じく利幅の高い電車(EMU)部門の売り上げが2.5%増にとどまったことなどが影響した。販売費は営業部門の強化に伴う人件費の増大やサービス費用、中間費用の増大で15.3%増。その結果、純利益率は前年を0.36ポイント下回る4.43%だった。

中国国内では12年に25都市が都市部鉄道(地下鉄など)車両の入札を開始し、同社はうち18件を獲得。車両だけでなく、トラクション、ブレーキシステムなど23億元相当を受注した。13年にはこうした受注製品の引き渡しがピークを迎える見通しであり、BOCIは同部門が相対的に高い成長率を達成するとみている。

13年年初の受注残高は780億元と、前年を小幅に上回る水準。この先、中国政府による機関車およびEMU入札の早期再開に期待がかかる。政府が鉄道部解体に伴い創設する「中国鉄路総公司」(運行・鉄道建設などの現業を手掛ける新会社)が、今後は同社最大の取引先となる運び。BOCIは同公司傘下に新設される複数の子会社が実際に入札作業を担当する可能性が高いとの見方。取引先の数が増えれば、売掛金回収期間が短縮されるとともに新製品の価格設定上の柔軟性が高まるとし、鉄道設備部門にとってはプラス効果が大きいとみている。

中国政府は鉄道部解体に伴う「中国鉄路総公司」の設立を急ぐことで鉄道改革に向けた強い決意を示しており、同公司を通じた鉄道建設事業の早期再開を望んでいるもよう。BOCIは今5カ年計画(2011-15年)期間の鉄道投資計画に変化はないとみて、設備需要の堅調推移を見込んでいる。中国の12年1-2月の鉄道固定資産投資は前年同期比25.7%増の376億2600万元、うち鉄道インフラ投資は同20.9%増の251億4000万元。BOCIは入札をめぐる短期的な不透明感に言及しながらも、年内の鉄道投資は予定通り実行されるとみている。

支援施設や鉄道敷設分野の需要から見て、EMU需要は今後大きく伸びる見込み。BOCIは同社のリスク要因として、公共鉄道投資の減速、EMU入札の遅れなどを挙げながらも、海外での需要増、都市鉄道車両の需要増を見込み、利益成長の持続を予想している。