12年12月本決算は13%増益、割安なバリュエーションと優位な事業モデルで推奨銘柄に

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00552 中国通信服務股フン(チャイナ・コムサービス)  5.16 HKD
(03/28現在)
 株価
 企業情報
 チャート

中国通信服務の2012年12月本決算は、純利益が前年比13%増の24億元と、BOCIの予想に即した水準だった。通信機器市場の逆境下、競合他社が不振だった一方で好業績を示した。売上高は14%増の615億元。業務受託サービス(BPO)の減速分は、通信付加価値サービス部門(ACO)の売り上げ増で相殺された。粗利益率は15.9%を維持。

同社の主要取引先は国内3大通信キャリアで、12年の売上高の65%を占めた。特にチャイナ・モバイル(00941)およびチャイナ・ユニコム(00762)の貢献は前年比16.2%増とチャイナ・テレコムからの売り上げの伸びを上回った。チャイナ・テレコム以外の通信会社との関係強化はリスク分散と長期成長の点でポジティブとBOCIは評価している。とりわけ、13-14年に第4世代(4G)ネットワークへの大規模投資を計画しているチャイナ・モバイルとの取引拡大は今後の成長につながる可能性を示唆する。

通信機器メーカーは今後予想される国内通信会社の4G投資拡大の恩恵を受けるとみられるが、同社は以下の点において他の通信機器メーカーに比べて優位にあるとBOCIは指摘している:1)同社の事業はネットワークデザインや管理など、実際のネットワーク設備の調達や敷設に先駆けて行われる通信インフラサービスを含む。2)同社の12年売上高の65%は国内通信キャリアによるもの。これは競合の中興通訊(00763)の30%(BOCI試算)に比べて大きく、4G投資の際のレバレッジが期待される。また同社の事業にはネットワークの保守点検サービスも含まれるため、敷設完了後も取引が継続する。3)通信機器メーカーの収益は、4Gライセンスのシナリオやキャリアによるテクノロジー選択(TDD LTE、FDD-LTE、両社のミックスなど)に影響される。一方で、同社が提供するネットワークエンジニアリングおよび敷設サービスは、テクノロジーそのものには依存しないため、よりリスクが軽減される。

BOCIは同社の投資判断を強気に据え置き、目標株価を13年予想PER12倍の5.93HKドルに0.7HKドル引き上げた。同社の株価は現在、13年予想PER10倍の水準と、過去5年間で最も低いバリュエーションで取引されている。また、13年の予想EPS(市場コンセンサス)も前年比12%増の0.397元と08年以降の年平均成長率の16%を下回っている。通信キャリアの4G投資を加速させる政府のライセンス発給のタイミングについて、同社経営陣は慎重な姿勢を継続。4G投資の恩恵による利益成長は主に14年からとしているため、4G敷設の遅れによる13年利益のダウンサイドリスクは低い。これらの点を踏まえ、BOCIは4G関連銘柄の中でも特に同社を推奨している。