【今日のまとめ】
- タブロー・ソフトウェアとリンクトインの株価が急落した
- これら銘柄は企業向けソフトウェア市場の先行指標となる可能性がある
- タブローは案件が小さく、商談成立が速いので変化を感じ取りやすい
- リンクトインはITプロフェッショナルの雇用市場の変化を感じ取りやすい
- 今後の企業向けソフトウェア企業の決算に注目
炭鉱のカナリヤ?
先週金曜日、データ分析・可視化ソフトウェア企業、タブロー・ソフトウェア(ティッカーシンボル:DATA)-49.6%と、ビジネス特化型ソーシャル・ネットワーク企業、リンクトイン(ティッカーシンボル:LNKD)-43.7%の株価が急落しました。
米国株式市場では、落胆すべき決算を出した企業の株が大きく売られることは珍しくありません。
それにしても先週のこれらの銘柄の売られ方は常軌を逸したひどさでしたし、被害は直接これらの銘柄に関係の無い成長株にも波及しました。
具体的にはワークデイ(ティッカーシンボル:WDAY)-16.4%、スプランク(ティッカーシンボル:SPLK)-23.1%、クリック・テクノロジーズ(ティッカーシンボル:QLIK)-14.9%、ホートンワークス(ティッカーシンボル:HDP)-17.0%、セールスフォース・ドットコム(ティッカーシンボル:CRM)-12.9%などです。
投資家の間からは「タブローやリンクトインは、炭鉱のカナリヤであり、ソフトウェア業界の減速は、他の企業にも広がっている」という指摘が出ました。
そこで今日はこの問題を整理したいと思います。
タブロー・ソフトウェア
まずダブロー・ソフトウェアの第4四半期決算はEPSが予想15¢に対し、33¢、売上高が予想2億ドルに対し2.03億ドルでした。売上高成長率は前年比+42%でした。
投資家が問題にしたのは今後の見通しであり、2016年EPSは予想61¢に対し、新しい会社側見通しが22~35¢、売上高予想8.71億ドルに対し、新しい会社側見通し8.3~8.5億ドルが提示されました。
同社は見通しを引き下げる根拠として需要の軟化で成約率が低下したことを挙げました。同社は、いわゆるフリーミアム・モデルを採用しています。フリーミアム・モデルとは、まず自社のソフトウェアを試しにユーザーに使ってもらい、それが気に入ったら、後から課金プランへ移行するというものです。
この課金方式の関係で、タブローのソフトウェアはユーザーに気軽に使ってもらえるし、当初のディール・サイズは小さく、導入に際しては上からの決済がおりやすいです。それはウォール街の専門用語では「セールス・サイクルが短い」と表現されます。
ディール・サイズが小ぶりで、成約にこぎつけるまでの時間が短いという特徴は、逆に言えば市場の変化を、いちはやく感じ取る立場にあるということです。
その同社が「顧客は、切詰められるところは切詰めようという経営態度になっている」と報告したので、投資家が怖気づいたというわけです。
リンクトイン
リンクトインの第4四半期決算はEPSが予想78¢に対し94¢、売上高が予想8.57億ドルに対し8.62億ドルでした。売上高成長率は前年比+34%でした。
投資家が問題にしたのは今後の見通しであり、2016年EPSは予想$3.73に対し、会社側の見通しは$3.05~$3.20、売上高は予想39.1億ドルに対し、会社側の見通しは36~36.5億ドルが示されました。
同社は製品戦略を改変したことが目先の見通しの暗転につながったことを説明しました。欧州中東アフリカ地域、ならびにアジア太平洋地域における売上不振、オンライン販売チャンネルの減速、ユーザー・エンゲージメントの劣化なども予想数字を下げる原因となりました。
リンクトインはIT関係のプロフェッショナルのリクルートに際して活躍する「就活サイト」ですので、その見通しの鈍化はIT業界全般への不安の高まりを誘発します。
今後注目される決算発表
さて、企業向けソフトウェアの業界に変化の兆しが出ている折、今後の決算発表に関しては、とりわけ注意して見守る必要があると思います。
そこでスケジュールですが、まずセールスフォース・ドットコムの決算発表は2月24日でEPSは19¢、売上高は17.9億ドルが予想されています。
スプランクの決算発表は2月25日でEPSは8¢、売上高は2.03億ドルが予想されています。
ワークデイの決算発表は2月29日でEPSは-5¢、売上高は3.2億ドルが予想されています。
オラクル(ティッカーシンボル:ORCL)の決算発表は3月16日でEPSは62¢、売上高は91.3億ドルが予想されています。
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