【今日のまとめ】
- メキシコ経済は米国、カナダと緊密な関係がある
- 税制改革を行った
- メキシコ・ペソが大幅に下落した
- 通貨下落で輸出競争力はUP
- 腐敗、犯罪などは引き続き問題である
- 中国経済の減速の影響を受けない
メキシコ経済の概観
メキシコは中南米でブラジルに次いで2番目に大きい経済です。2014年のGDPは1.28兆ドルでした。
メキシコの人口は1.25億人で人口の52.3%が貧困層です。
メキシコは1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)により、アメリカ、カナダ両国の経済と結びつきを強めています。メキシコのマキラドーラ地域は米国の製造業の移転先となっています。
メキシコ湾では国有石油会社ペメックスが操業しています。ペメックスは、かねてから経営改革の必要が指摘されており、最近、ようやくテコ入れが始まっています。
メキシコ経済はアメリカ経済に影響を受けやすいです。
失業率は改善基調にあります。
メキシコの経常収支は赤字となっています。
税制改革
メキシコは2013年に所得税の引上げを行いました。また燃料に対して課せられる消費税も増税されました。これが原油価格下落によるロイヤリティー収入の減少を補っています。
メキシコ政府はさらに公共工事への支出を切り詰めることで財政健全化を進めています。
メキシコ政府の債務はGDPの45%程度です。
メキシコ・ペソの下落
メキシコ・ペソは2015年1月1ドル=0.068でしたが、12月11日現在1ドル=0.0578となっています。これは-15%の下落です。
メキシコ・ペソの下落は、メキシコ経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的要件)が悪化したことが原因ではなく、米国の連邦準備制度理事会(FRB)がいよいよフェデラルファンズ・レートを引上げることを見越した動きです。
メキシコ・ペソの下落は輸入品価格が高騰する要因です。それを打ち消す要因としてコモディティ価格の下落が寄与しています。その結果、メキシコのインフレは安定的に推移しています。
その他の要因について
メキシコは麻薬密売をしているマフィアのボスが刑務所から脱走するなど、犯罪や腐敗に関するニュースが絶えません。
また一握りの富豪が、経済活動を牛耳っているという弊害もあります。
貧富の差も拡大しつつあります。
その反面、海外からのホットマネーが最近は殆ど入り込んでいないため、経済がそれに翻弄されるリスクは低いですし、最近のペソ安でメキシコの輸出競争力は改善しています。
メキシコの銀行セクターは健全で、銀行のバランスシートは強固です。また消費者の負債比率は低く、家計部門は健全です。
メキシコは他の南米諸国のように中国に対するコモディティの輸出に依存していないため、中国経済の減速の影響を受けません。
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