3月15日
国内政策動向に注目、天然ガス価格改革はペトロチャイナに有利

BOCIは国際原油相場が当面ほぼ現行レンジで推移すると予想した上で、短期的には中国国内の関連政策動向が石油銘柄のパフォーマンスにより大きく影響するとみている。今後予想される天然ガス価格改革は、ペトロチャイナ(00857)に最大の恩恵をもたらす見込み。一方、石油製品を対象とした消費税課税システムの見直しは、ペトロチャイナやシノペック(00386)など大手全般に有利となり、販売部門の利幅改善につながる見通しという。BOCIは石油セクター全体に対する強気の見通しを継続している。

国際原油相場が年初から予想を上回る水準で推移する中、BOCIはこのほど、ICEブレント原油の13年平均価格に関する予想値を1バレル=107.5米ドルから108.6米ドルに上方修正。一方、14年に関しては102.4米ドルから101.5米ドルに下方修正し、長期見通しを90米ドルの水準に据え置いた。

中国国内の政策動向を見ると、まず石油製品に対する消費税制の改定は大手各社に有利。ガソリン、軽油など主要品目に限定した現行システム下では、地方の中小企業が品目名を変えるなどの手段で納税を逃れているが、国家税務総局は昨年11月、抜け道を塞ぐために同税の課税対象品目を13年年初から一般液状化学品すべてに拡大。これにより、中小企業は値上げ、あるいは撤退を余儀なくされるとみられ、結果的に大手にプラス。BOCIによれば、新たに課税対象となる石油製品は供給量全体の約8%に当たるという。

一方、中国政府は大気汚染対策の一環として、15年初め、18年初めと2度にわたってガソリン・軽油の品質基準を強化する方針。石油各社は今後、設備アップグレードに向けた投資を迫られるが、高品質基準をクリアした製品は販売価格の高め設定が可能であり、BOCIは「投資に見合うだけのリターンは得られる」とみている。ちなみに18年に導入予定の国内基準「国5」は「ユーロ5」とほぼ同等レベルとなる見込み(現在は地域別に国内基準3-5を適用)。現在のところ、「国4」基準の達成率は、シノペックが64%、ペトロチャイナが23%とされている。

また、時期こそ不明だが、政府はこの先、「石油製品の価格決定メカニズム」の見直しを実施する見込み。これに伴い、国内価格がより密接に国際原油相場と連動し、石油精製部門の収益安定化を後押しする見通しとなった。

実質値上げにつながる「天然ガスの価格決定メカニズム」の改定はまもなく実施される可能性が高い。中央アジア産の高価な天然ガスの輸入量が増加する中(12年に前年比58%増)、ペトロチャイナのガス部門は大幅赤字を計上しており、価格改革は急務。詳細は今のところ不明だが、いずれにせよ、同社の部門業績が改善するとみられている。

BOCIは特にペトロチャイナとMIEホールディングス(01555)を選好。ペトロチャイナが、精製部門の赤字縮小で、13年に利益成長を回復するとの見方だ。