【今日のまとめ】

  • オーストラリアはコモディティの輸出を通じてアジア諸国経済とつながっている
  • 鉄鉱石は新鉱山の始動とシェアアップで輸出数量を伸ばしている
  • 豪中銀は利下げで景気を支援
  • ビジネスのセンチメントは堅調
  • 消費は好調
  • 海外からの不動産投資を抑制へ
  • 為替、株式は既に調整した

アジアとのつながり

オーストラリアは鉄鉱石、石炭、天然ガス、石油などの輸出を通じて中国をはじめとするアジア諸国の経済と密接につながっています。

オーストラリアの鉄鉱石の輸出は中国が国内業者の比率を下げ、オーストラリア、ブラジルからの調達比率を上げている関係で伸びています。また大きな鉱山を始動したことで価格競争力も向上しました。

このところ日本以外のアジアの景気は少し減速しています。中国の粗鋼生産も2015年上半期は少し減速しました。あらゆるコモディティ価格が軟調な展開となっているので、いくら価格面で競争力があるとはいえ、オーストラリア経済もその影響を受けざるを得ません。

利下げ

オーストリア準備銀行は5月6日にキャッシュレートをこれまでの2.25%から2.00%に引き下げました。その後、オーストラリアの国債利回りは低下しています。

本来であればこれは住宅ローン金利の低下を意味するのですが、オーストラリアの銀行各行は後に述べる理由から投資物件向けの住宅ローン金利を引き上げています。

通貨

このところオーストラリア・ドルは米ドルに対してかなり下落しました。これは度重なるキャッシュレートの引き下げに因るところが大きいです。

経済成長

オーストラリアの経済は、貿易相手国の経済が変調しているにもかかわらず、どっこい成長を続けています。

ただ6月期は景気が一段と減速した可能性があります。特に鉱業は、これまで高水準だった先行投資を一転して絞り込みはじめています。

鉱業以外のオーストラリアのビジネスの信頼感は強いです。

消費

低金利を背景に消費もまずまずの水準を維持できています。

自動車販売台数も高水準です。

ただ消費者信頼感指数は下向きになっており、注意が必要です。

住宅市場は堅調です。ただ地域差が大きく、シドニーとメルボルンはとりわけ住宅価格が高い一方、その他の地方では軟調です。

オーストラリアは海外の投資家からの住宅投資が多く、そのような海外からの買いで国民の手に届かない値段に吊り上げられているという批判があります。

このような投機的な動きを抑える意味でオーストラリアの銀行は融資基準の厳格化ならびに住宅ローン金利の引き上げを行っています。

これを受けて民間住宅建設許可件数は少しピークアウトした観があります。

雇用

失業率のトレンドはアメリカなどとは逆です。

しかし足下の求人は戻ってきている観もあります。

物価

物価は安定しています。

まとめ

以上をまとめるとオーストラリア経済は中国経済の減速をはじめとする外部環境の暗転の影響を受けています。しかし経済には抵抗力があり、景気は大きく崩れる様相を見せていません。為替や株式市場は一足先に減速を織り込んで調整しました。