12年上期の苦戦を予想、搾油マージン改善に伴い13年から利益成長回復へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00606 中国糧油控股(チャイナ・アグリ・インダストリーズ) 5.28 HKD
(06/12現在)
 株価
 企業情報
 チャート

2012年上期に厳しい事業環境に直面するとの見方から、BOCIはこのほど、中国糧油控股の12-13年の予想純利益を27-35%下方修正した。景気減速や業界全体の搾油能力拡大を背景としたオイルシード(油糧種子)搾油マージンの縮小見通しが背景。また、オイルシード部門の採算性に大きく左右されるバイオ部門も苦戦するとみている。下方修正後の12年予想純利益は市場コンセンサスを17%下回る水準。BOCIは目標株価を引き下げ、同社株価に対する従来の強気見通しを中立的に変更した。

オイルシード部門では製品価格を上回る原材料(大豆)価格の値上がりや搾油能力の拡大が利幅を圧迫し、業界全体の搾油マージンが2012年に3-5%まで悪化する見込み(従来は5-7%)。BOCIは同社の搾油マージンについて、前年を1.3ポイント下回る4.8%と予測し、13年に5.5%に回復する見通しを示した。同社の搾油能力は昨年、前年比47%増の103億8000万トンに達したが、12年に入ってからはさらに30%拡大。設備稼働率は11年に平均83%で、12年もほぼこの水準を維持する見通しという。

一方、精米事業は引き続き拡大し、市場における同社シェアは2011年に14.6%に達した。12年には新たに6つの精米工場が稼動し、売り上げおよびスケールメリットの一段の拡大を後押しする見込み。経営陣は12年の販売量について前年比30%増を予想。また、原材料(水稲)価格の上昇幅の縮小や輸入米調達量の拡大で、部門粗利益率が改善し、営業赤字も縮小すると予想。13年には採算ラインに乗せるとみている。

バイオ燃料部門の業績は安定的ながらも、バイオケミカル部門は今年苦戦する可能性が高まっている。コーンシロップ価格が下落する一方、とうもろこし価格の値上がりが続いていることが背景。同社はより利幅の大きい川下製品の比重を引き上げているが、利幅の維持は難しく、BOCIは12年通期の部門粗利益率が前年を1.4ポイント下回るとみている。また、モルト部門の粗利益率はオオムギ価格の上昇などから2010-11年に高水準に達したが、12年には正常レベルの18.6%まで低下する見通しという。

製粉部門では生産力増強(12年に前年比70%増)が売り上げ増に直結する見込み。小麦および小麦粉価格の安定化に伴い、粗利益率も安定推移する見通しとなった。一方、同社はオイルシード圧搾の川下業務として動物飼料生産に乗り出しており、BOCIは「12年の利益寄与は見込めないものの、事業拡大戦略としては妥当」と評価している。

BOCIによると、2012年6月中間期には前年同期にヘッジ利益を計上した反動で、減益決算となる見通し。12年通期には前年比0.2%の微増益が予想されるという。ただ、搾油マージンの回復に伴い、13年、14年にはそれぞれ前年比33%、26%の増益を達成するとみて、12-14年の利益成長率が年率19%に上ると予測している。また、中国農業セクターにおける優良国有企業として、同社の長期成長力を高く評価している。