2012年の業績回復を予想、設備・端末両部門で粗利益率改善へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00763 中興通訊(チュウコウツウシン) 14.55 HKD
(06/05現在)
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中興通訊は2011年通期決算で苦戦したが、BOCIは2012年の業績回復を予想している。国内通信業界では向こう5年間にわたり、データ関連を中心とする設備投資がトレンドになるとみられ、12年にはスマートターミナル、光通信網、ワイヤレスネットワークなどが同社の収益成長エンジンとなる見込み。BOCIは営業外収支(為替差損益や訴訟関連収支、投資収益など)のインパクトがかなり強まると予想しながらも、それ以上に◇粗利益率の回復、◇市場シェアの一段の拡大、◇費用率の安定的な低下――が重要ポイントになるとし、12年の採算性改善を見込んでいる。通信ネットワーク設備部門が力強い伸びを維持すると同時に、端末部門ではスマートフォン出荷台数が倍増する見通しという。ユーロ安による為替差損が予想され、国内通信キャリアによる設備発注の遅れが上期決算に影響する可能性もあるが、BOCIは下期の業績を楽観し、12年通期の予想EPSを0.99元に設定。同社株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。

中国の通信設備市場は2012年下期にプラス成長に転じるとみられ、世界市場では通信キャリアによる12年の設備投資が前年比8%の伸びを示すと予想されている。欧州の主要キャリアによる2Gネットワークの更新に加え、国内などの3Gネットワーク拡充、第4世代(4G)規格LTEへの移行がビジネスチャンスにつながる見込み。欧州では同社が提供してきた2Gネットの無料アップグレードサービスが粗利益率の低下を招いたが、同サービスは年内にも終わり、ネットワーク設備部門の粗利益率改善が期待できるという。一方、国内のキャリア3社による設備投資は低調で、同社在庫は昨年末の150億元から、今年3月末には168億元に増大した。ただ、キャリア3社はそれぞれネットワーク拡充やPON(パッシブ光ネットワーク)設備導入をめぐって入札に動いており、BOCIはこれが4-6月期の契約獲得につながるとみている。

スマートフォン出荷台数は12年に2800万-3000万台に急増する見込み。また、主要部品価格の下落や、より利幅の高い1000-2000元の機種の比重拡大、さらに海外向け出荷の比重拡大などを理由に、BOCIは端末部門の粗利益率が11年通期の15%から12年には19%に上向くと予測している。

一方、短期的には営業外収支がリスク要因となるとみられ、ユーロ安に起因する為替差損がその一つ。ただ、BOCIは同社が年初から為替ヘッジを強化していることや、対米ドルで小幅の為替差益計上が期待できることなどを指摘した。また、国内の手形割引率が昨年4-6月期の8%から現在では4.8%に低下したことが、為替差損によるダメージを一部吸収すると予測。海外での潜在的な政策リスク、為替差損の増大リスクに言及しながらも、営業外損失が同社の価値に大きく影響する可能性は低いとみて、長期的な投資価値を楽観視している。