12年1-3月期決算は3.5%増益、MOUの減少を懸念

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00941 中国移動(チャイナ・モバイル)  87.45 HKD
(04/23現在)
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チャイナ・モバイルが20日に発表した2012年1-3月期決算は、純利益が前年同期比3.5%増の278億元、営業収入が同7.8%増の1274億元だった。結果はBOCIの予想通りだが、市場コンセンサスをやや下回っている。携帯電話市場では今後競争の激化が見込まれるため、市場では利益見通しの下方修正が相次ぐと予想される。ただ、BOCIの12-14年予想利益値はすでに市場コンセンサスを2-7%下回る水準にあるため、現段階では数値を据え置いている。

チャイナ・モバイルの発表資料によると、1-3月期のMOU(1契約当たり月間平均通話時間)は505分と、前年同期に比べ2%減少した。BOCIが同社の四半期レポート作成を開始した2006年以降、四半期MOUの減少は2度目。前回の09年1-3月期は、輸出の急減で仕事を失った出稼ぎ労働者が沿岸都市から故郷に戻ったことが要因だった。

BOCIは今回のMOU減少を懸念し、以下の考察を示している。

1)1-3月期のMOU減少は、チャイナ・モバイルがハイエンドユーザーを失いつつある初期の兆候とみられる。ただし、まだ1-3月期だけのことであり、結論づけるには時期尚早。

2)09年の状況と違いマクロ経済の影響は考えにくい。09年1-3月期および4-6月期にはMOUと共にARPU(加入者1人当たりの月間収入)の下落も認められ、ARPPUはそれぞれ前年同期を12%、9%下回ったのに対し、今期は3%減。データ通信部門が音声部門の穴埋めをしていることが伺える。

3)現段階では競争激化が要因ではない。チャイナ・ユニコムが3月に沿岸4省において「月3元で通話無制限」という2G通話サービスパッケージのプロモーションを開始したが、チャイナ・ユニコムの業務統計では3月の2G契約純増件数は55万4000件に留まっている。チャイナ・モバイルの6億6700万件に上る2G契約件数から判断しても、多少解約率がアップしたとしても影響は少ない。

しかし、本格的な競争が始まるのは競合2社がネットワークを拡充し、低価格帯のスマートフォンがシェアを伸ばす4-6月期以降。データ通信の利用が多くARPUの高いチャイナ・モバイルのハイエンドユーザーが他社の魅力的なネット環境に魅かれてキャリアを乗り換える可能性は高く、そうなればチャイナ・モバイルの収益は必然的に圧迫される。

BOCIは同社の株価の先行きを中立見通しに据え置いている。