3月9日「中立」
低炭素化政策下で大幅成長持続へ、12年にM&A加速を予想

相場の不透明感が続く中、BOCIは引き続き中国本土の都市ガス・セクターに対して楽観見通しを示している。ガス銘柄のディフェンシブ性の高さに加え、第12次5カ年計画(2011-15年)期間に都市ガス需要の急成長が見込まれることなどが背景。また、2012年のセクター全般の動向については、M&Aの新たな波の到来、川下のガス供給状況の改善、ガス調達コストの高騰による利益率の低下――などを予測した。こうした中、
◇事業エリアの地理的多様性が高い
◇ガス調達費の高騰分を価格転嫁する能力がある
◇ガス管接続料収入への依存度が低く、利益の質的水準が高い
◇バランスシートが健全
――などの銘柄を有力視。個別では華潤ガス(01193)の株価の先行きに強気見通しを示し、同社をセクター全体のトップピックとした。一方、北京控股(00392)に対しては中立的な見方。新奥能源(02688)、中国燃気(00384)についても中立見通しを継続したが、買収計画に絡む両社株価のこれまでの値上がりに言及し、当面はやや慎重なスタンスを取るよう投資家に勧めている。

中国国内ではすでに良質な新規都市ガスプロジェクトは残り少なく、今後はM&Aが加速する見通し。BOCIは
◇シノペック(00386)やペトロチャイナ(00857)など川上事業者による都市ガス事業参入
◇国有大手による中小買収
◇既存事業者による都市ガス事業やガス関連資産の買収
――という3タイプのM&Aが進むとみている。

新奥能源とシノペックは現在、中国燃気に対する株式公開買付(TOB)計画を進めているが、中国燃気の大株主(韓国SKグループと英フォーチュンオイル)による買い増しなどで事態は複雑化し、計画に遅れが出ている。BOCIによれば、仮に新奥能源側がTOBを放棄した場合、オファー価格の引き上げ懸念から下落していた同社株価が上昇し、これまで急伸してきた中国燃気が下落に転じる見込み。TOB計画を継続した場合には新奥能源の負債比率とROEが悪化し、中国燃気株が一段と上向く可能性があるという。また、BOCIは新奥能源とシノペックによる3月7日の発表を受け、オファー価格引き上げの可能性に言及。新奥能源の一段の格付け低下につながる可能性を指摘した。

一方、BOCIによれば、都市ガス・セクターはこの先急成長が期待できる数少ない業種の一つ。中国政府が低炭素化政策の下で都市ガス普及を奨励していることや、石油、石炭、LPGに対する都市ガスの価格競争力、国内での都市化の進行――などがその理由。天然ガス消費は2011-15年に年率19%のペースで増加するとみている。

また、都市ガス・セクターでは川上のガス供給のひっ迫が問題だが、天然ガス価格改革を受けた川上事業者の供給意欲の向上や、大型ガス輸送ラインの完成、ガス輸入施設の整備などが現状改善に寄与する見込み。また、CBM(コールベッドメタン)やシェールガスなど非在来型ガスの開発が加速する可能性も高く、安定供給に寄与する予想だ。