11年12月通期に予想を下回る3.5%増益、中国事業は急成長を持続

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00023 東亜銀行(バンク・オブ・イーストアジア) 29.75 HKD
(02/15現在)
 株価
 企業情報
 チャート

東亜銀行の2011年12月本決算は、純利益が前年比3.5%増の40億HKドルと(ハイブリッドTier1クーポンを除外)、市場コンセンサス予想を9%、BOCIの予想を5%下回る水準にとどまった。11年末のコアTier1比率(狭義の中核的自己資本比率)、Tier1比率(中核的自己資本比率)、自己資本比率はそれぞれ8.5%、9.4%、13.7%と、同業銘柄を下回る水準。BOCIは資本強化に向けた資金調達の可能性が当面、同行の株価の重しになるとみている。また、2012-14年のROE(株主資本利益率)が9%にとどまる見通しやコアTier1比率の低さから、株価の先行きに中立的な見方を継続している。

11年通期利益が予想から下押ししたのは主に、下期の投資評価損の計上、純トレーディング損失の計上が原因。この2つの要因や季節的な経常費用の増大、さらに引当金計上が響き、下期の純利益は前期比42%減の14億8400万HKドルにとどまった。

下期には純金利マージンの改善や金利派生資産の増加(前期比平均8%)に伴い、役務取引等利益(純金利収入)が前期比10.5%増加した。中国現地法人の純金利マージンが前期比9ベーシスポイント拡大したことが寄与し、同行全体の下期の純金利マージンは上期を3ベーシスポイント上回る1.76%。一方、貸出伸び率は不動産関連融資の縮小を受け、BOCI予想の5%を下回る前期比3%にとどまった。また、預金の伸びも予想以上に鈍く、下期に前期比わずか1.7%増。その結果、預貸比率は11年末に68.9%と、6月末の68%からやや上向いた。

中国事業の拡大を背景に、11年下期の経常費用は前期比10%増。その一方で経常収益が前期実績を下回り、費用収入比率は上期の57.3%から68.9%へ大きく悪化した。ただ、経営陣は中期的に同比率を60%以下に抑える目標を掲げており、引き続き目標達成に自信を示している。

一方、資産の質は依然健全で、不良債権比率は上期末の0.45%に対して11年末に0.46%。上期に貸倒引当金の戻し入れを行った後、下期には引当金を計上し、下期の信用コストは年率7ベーシスポイント上向いたが、BOCIの予想より小幅の増加幅にとどまった。

中国本土の現地法人(BEA China)は引き続き力強い伸びを維持し、11年通期の貸出残高、預金残高はそれぞれ前年比11.7%増、23.2%増。純金利マージンは前年の2.34%を上回る2.5%に達した。また、不良債権比率は6月末の0.06%に対して期末に0.09%。ただ、急速な支店網の拡大を背景に下期の経常費用が前期比20%増大し、BOCIは「本土部門にとってはコスト管理が大きな課題になる」と指摘している。

BOCIは決算発表後、2012年、13年の予想純利益を7%、12%下方修正した。主に貸出伸び率が従来予想を下回る見通しや非金利収入の伸び悩みがなどを下方修正の理由としている。