いよいよ2017年の相場が始まりました。少し遡った2016年の大納会(12月30日)の日経平均終値は19,114円でした。2015年の大納会は19,033円でしたので、年ベースで小幅ながらも上昇となりました。
そして迎えた大発会(1月4日)は大納会から大きく上昇し、終値(19,594円)は昨年乗せきれなかった19,500円台をつけています。また、上昇幅(479円高)も大発会としては1996年(749円高)以来の大きさですので、幸先の良いスタートだったと言えます。翌5日の終値は19,520円と小幅安でしたが、19,500円を維持しています。
(図1)日経平均(日足)の動き(2017年1月5日取引終了時点)
まずは、足元の状況を上の図1で確認してみます。
冒頭でも触れた通り、2017年は上昇して始まりましたが、昨年末にかけては上昇が一服して調整が警戒されるような値動きを見せ、前回「ラウンドトップ」という天井パターンを形成していることを指摘しました。
それでも、大納会のローソク足が25日移動平均線をサポートに踏みとどまったこと、大発会のローソク足が直近高値(12月21日の19,592円)を超えたことを踏まえると、「調整入りが警戒されながらも何だかんだで上昇していく」構図が年明けも継続したことになります。酉年だからというわけではありませんが、チキンレースが続いていると言えそうです。
株価上昇の背景には、まだ誕生していない米国のトランプ新政権への期待と思惑を先取りしてきた面が強く、今後は現実とのギャップを埋めに行くことが予想されるため、調整局面は高い確率で訪れると思われます。そのタイミングとしては、①1月11日(初のトランプ氏の記者会見が予定されている日)、②1月20日(トランプ氏の大統領就任日)、③2月9日(米予算教書公表日)、④不明(トランプ氏のTwitterでのつぶやき)等が考えられます。
そのため、上昇と下落の両シナリオを睨みながら、取引のタイミングを探って行くことになります。第140回では、値幅レンジの目安として「HLバンド」を紹介しましたが、今回は「(線形)回帰トレンド」で見ていきたいと思います(下の図2)。
(図2)日経平均(日足)の回帰トレンド(130日)(2017年1月5日取引終了時点)
回帰トレンドは、一次関数の考え方を用いて表現する統計学的なテクニカル指標のことです。細かい説明は省きますが、「ボリンジャーバンドと似ているもの」というイメージを持っていただければと思います。
ボリンジャーバンドは移動平均線を中心に、値動きのばらつき具合を±1σ(シグマ)、±2σで表しますが、回帰トレンドも同様に値動きのばらつき具合をσで表します。中心となるのは、移動平均線ではなく、一定期間の値動きの中心を直線で描いたものになります。
直線で描くというのがポイントで、トレンドの方向性がわかりやすくなります。トレンドの勢いが強いほど、直線の傾きの角度が急になります。そのため、ボリンジャーバンドよりも逆張り的な使われ方をします(±2σを越えると相場の行き過ぎと判断)。つまり、トレンドが上向きで株価が+2σを超えたら売り、トレンドが下向きで株価が-2σを割ったら買いというわけです。また、それぞれの線が上値(下値)抵抗線の目安になります。
あらためて上の図2を見てみます。基準とするのは、最後に日経平均が15,000円割れを見せた昨年の6月にしました。米大統領選挙の混乱時期を除けば、視覚的に何となく水準感が分かりやすくなったと言えます。
ちなみに、日経平均がこのまま上昇を継続した場合、どの線に沿って推移するのかによって、2万円に到達する時期を想定することもできます。
最後に本レポートですが、掲載日がこれまでの毎週金曜日から毎週月曜日に変更になります。そのため、次回の掲載は1月16日(月)です。
2017年も何卒よろしくお願いいたします。
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