今週の国内株市場ですが、日経平均はようやく節目の19,000円台に乗せ、年初来高値を連日で更新する展開が続いています。また、前回紹介した上値の目安のひとつである昨年大納会の終値(19,033円)も上回っており、このまま年末を迎えることができれば前年比でプラスになります。12月15日(木)の終値は19,273円でした。8日続伸であるほか、この日も年初来高値を更新しています。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年12月15日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて、足元の状況を上の図1で確認してみます。

先週から今週にかけて、メジャーSQおよび米FOMCというイベントを通過してきたわけですが、日経平均はほぼ250円刻みを意識しながら株価水準が切り上がってきたことが分かります。

また、アフター「日経平均19,000円台」となった今週のローソク足の並びを見てみますと、十字線に近い陰線が多くなっていて、連日で年初来高値を更新している割にはあまり良い形ではありません。陽線は12月13日(火)のみとなっていますが、この日の終値もやっぱり250円刻みの19,250円水準です。

当然、ローソク足の並びが良くなければ、ひとまず天井をつけて調整局面入りを想定すべきところですし、次第にその警戒感も強まっていますが、11月の米大統領選挙以降、これまで何度となく過熱感が指摘されながらも、上値を搾り出しながら上昇してきました。下の図2は日経平均と25日移動平均線のエンベロープの推移です。

(図2)日経平均と移動平均線エンベロープ(25日)(2016年12月15日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)

エンベロープとは、移動平均線をそのまま平行に上下にずらしたものですが、今年の日経平均の上値は+3%もしくは+6%が目安になる傾向があるのですが、足元の日経平均も+6%のところまで来ています。

これまでのパターンであれば、先ほどのローソク足の並びと同様にいったん天井をつけるのではと考えるのがセオリーになりますが、移動平均線自体が右肩上がりであるため、+6%の線に沿って上昇を続ける可能性もあります。調整警戒と同時に上値の搾り出しが継続するシナリオも考慮しておく必要があります。

さらに、需給面による下値不安後退という背景もあります。先ほども登場した13日終値と同様に、翌日14日の終値(19,253円)も19,250円水準になっていますが、実は、両日ともいわゆる「日銀によるETF買い(746億円)」が入っています。そのため、19,250円水準が意識されるとみることもできます。

では、どのくらいまでの上値を想定しておいた方が良いのでしょうか?足元の日経平均は年初からの下落を取り戻していることもあり、週足で中期的な状況を確認してみます。

(図3)日経平均(週足)チャート(2016年12月15日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

想定トレンドラインをベースに見ていくスタンスは継続していると見て良いと思います。すぐに調整が入るとしたら18,000円前半が目安になりそうです。

一方の上値ですが、日経平均が下落基調に転じた昨年8月の高値(20,946円)から今年6月の安値(14,864円)の下げ幅に対する戻り幅という視点で捉えていきます。この期間の下げ幅は6,082円です。戻りの目安で使われるのは、「3分の1戻し」、「半値戻し」、「3分の2戻し」が有名ですが、現在は3分の2戻しの水準である18,918円を上抜けて来ました。

そしてもうひとつ、「フィボナッチ比率」に基づいた見方があります。イタリアの数学者のフィボナッチが研究した数列(フィボナッチ数列)の中に現れる比率のことです。フィボナッチ数列の規則性は自然界の様々な現象の中に見出すことができますが、マーケットの動きも自然現象の一部と考えて、値動きの規則性を見つけようとするアプローチです。

細かい説明は省きますが、テクニカル分析では23.6%、38.2%、61.8%、76.4%、100%、123.6%、138.2%、161.8%といった数字がよく使われます。

これらの比率の中で足元の日経平均は76.4%戻しである19,510円が上値の目安として意識されそうです。図1でも触れた250円刻みにも当てはまる水準です。実際に12月15日(木)の高値は19,436円でしたので、トライしようとした可能性もあります。「上値の搾り出し」が「掉尾の一振」となるのかが目先の焦点になるかもしれません。