祝日を挟んだ今週の国内株市場もこれまでのところ上昇基調が続いています。日経平均は節目の18,000円台に乗せ、11月24日(木)の終値は18,333円でした。終値ベースで日経平均が18,000円台を回復するのは、今年1月6日以来ですので、長い時間をかけてようやく年初の水準まで戻してきたことになります。
(図1)日経平均(日足)の動き(その1)(2016年11月17日取引終了時点)
まずは、いつものように足元の状況を上の図1で確認してみます。
前回(11月17日)の時点では、「上放れの並び赤」の形となり、翌日が高寄りでスタートすれば、さらなる上昇の可能性になることについて触れましたが、今のところそのセオリー通りに上昇基調を辿っています。ただ、結果的に上昇はしていますが、実際の取引でこの期間中に利益を出すのは難しかったのではないかと思います。
下の図2は、11月17日からの日経平均のTickチャート、つまり、日中の取引時間の値動きを表したものですが、値幅が狭く、方向感に欠ける展開が目立ちます。
(図2)日経平均のTickチャート(2016年11月17日取引終了時点)
米国市場のドル高(円安)・株高に牽引され、前日終値比で株価水準は切り上がるものの、日本時間ではあまり動意付いていなかったことが分かります。また、このところの急ピッチな株価上昇に対して警戒感を指摘する声もある中、日を跨いで株を保有するのも正直勇気が要ります。
再び図1に視点を戻すと、11月24日(木)のローソク足が迷いを示すとされる「十字線」であるほか、足元の上昇基調も、変則的ながら窓空けが3つ続く「三空」の形になっています。三空は、「三空踏み上げには売り向かえ」という言葉があるように、相場の天井をつけることが多いとされています。窓空けによる上昇自体は力強いのですが、「さすがに3回も続くと行き過ぎなのでは?」という考え方です。ローソク足の並びからは高値警戒感が強まっているように感じます。
とはいえ、相場の調整が警戒される中で上昇の勢いを試す「チキンレース」がここまで続いてきたのも事実です。これまでにも何度か紹介しましたが、今年に入ってからの日経平均は、25日移動平均線から3%、6%ほど乖離した辺りが上昇・下落のメドになることが多いです(下の図3)。
(図3)日経平均(日足)と移動平均乖離線(25日)(2016年11月24日取引終了時点)
11月24日(木)取引終了時の乖離率は+5.1%です。この日の25日移動平均線は17,442円ですので、このまま+6%乖離まで上昇するのであれば18,488円が目安になります。この水準は終値ベースでの年初来高値である1月4日の18,450円とほぼ同じになります。そのため、年初の水準を取り戻したところで達成感が出て、ここが調整のきっかけになるのかが注目されます。
また、今後調整が訪れた時、果たして押し目買いの良い機会なのかどうかも気になるところです。こちらは週足チャートで見てきます。
(図4)日経平均(週足)の動き(2016年11月24日取引終了時点)
基本的な見方は前回と変わりませんが、日経平均は昨年11月下旬から12月あたまにかけて2万円を回復したものの、そこから本格的な下落基調に転じました。短期的な戻りを期待する押し目買いであれば利益を出せる場面がありましたが、上昇継続を期待する押し目買いだと、かなりの痛手を負うことになりました。
当時と足元で違うのは株価と移動平均線の位置関係です。昨年は26週移動平均が下向きの中、株価が下抜けてしまい、さらに52週線とのデッドクロスまで実現してしまったことで、弱いチャートの形状になってしまいましたが、足元では26週移動平均線が上向きであるほか、株価も26週線からかなり上方向に位置しています。そのため、①調整入りとなった場合、26週移動平均線がサポートになる、②調整後の株価が直近高値を更新する、③26週移動平均線が52週移動平均線を上抜けるゴールデンクロスになる、この①~③をクリアできれば、中期的にはかなり強いチャートの形状になります。
もっとも、これらをクリアするには時間がかかるため、今後調整が訪れた際に押し目買いを入れるのであれば、下げ止まりを確認した後、直近高値付近で早めに利益確定するぐらいのスタンスが無難かもしれません。
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