業務全般で強さを発揮、長期的な成長力を評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
06030 中信証券股フン有限公司 (中信証券)  12.78 HKD
(12/14現在)
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中信証券は総資産および売上高で中国最大の証券会社。証券仲介、投資銀行、資産管理の各部門で国内首位と取扱業務全般で優位に立っている。ただ、昨今の低調な株式市場の影響を受け、短期的には業績を楽観視できない状況が続いている。

上海総合指数は2011年下期に入り、予想以上の下落傾向を示している。7-9月期の指数は3カ月で14.59%下落(2762.08ポイント→2359.22ポイント)。この影響で中国の上場証券会社17社の7-9月期業績は、売上高が前年同期比53.6%減、純利益が同81.4%減と低迷。中信証券は57.0%減収、74.2%減益だった。BOCIは最新リポートで、今後上海総合指数が2000ポイントを割る可能性も指摘。こうした状況を踏まえ、中信証券の11年10-12月期および12年1-3月期の業績を控えめにみている。

一方でBOCIは、中国証券市場の長期的な成長については引き続き楽観視している。上海、深セン株式市場の10年末時価総額は26兆5400億元と08年末に比べ118%拡大。また中国では10年3月より信用取引制度が解禁され、開始から17カ月で信用取引残高が343億6000万元に達した。相場の下落により信用取引市場も短期的に厳しい状況が続くものの、長期的には成長基調にあると判断している。さらに、向こう2-3年間には貸株制度の整備や株券レポ取引、外国株市場の開設など、市場に新たな取引形態の導入が期待される。市場の複雑化は多様な金融商品の開発など大手証券会社に新たなビジネスチャンスをもたらすと期待している。

こうした中国資本市場の変化と拡大の過程において、豊富な取引先、強固な資本ベース、金融商品開発で高い競争力を持つ中信証券が今後強さを発揮するとBOCIは評価。08年に証券各社の新規支店開設が解禁されて以来、仲介手数料の引き下げ競争により仲介業務の収益率が悪化しているほか、市況悪化で投資銀行業務が苦戦しているものの、一方で引受業務のほか、資産管理業務、バイサイドのプライベートエクイティ投資が成長しており、今後の貢献が期待される。

これらの状況を踏まえ、BOCIは同社の目標株価を12年PBR1.4倍、PER28.5倍の14.14HKドルに設定。向こう数カ月は不透明な状況が続くものの、長期的な成長が期待されるとみて、株価の先行きは中立見通しとした。ただ、業績はA株市場に大きく左右されることから、市況の動き次第では予想の範囲に収まらない可能性も指摘。新規事業や海外進出も事業リスクを高める要因に挙げている。