注目イベントだった、イエレンFRB議長の講演(@ジャクソンホール)を受けて迎えた今週の日経平均ですが、上昇の動きが目立っています。9月1日(木)の終値は16,926円でした。
(図1)日経平均(日足)の動き(2016年9月1日取引終了時点)
いつもの通り、上の図1で足元の状況を確認します。今週に入ってからのローソク足は陽線が多いほか、窓を空けて短い陽線が2本続く格好が繰り返されています。これは「上放れの2本赤」と呼ばれ、上昇基調の買いサインとされているため、悪くない形です。
また、先週注目していた、「三角保ち合い」への復帰ですが、こちらも75日移動平均線がサポートとなって無事に復帰することができたほか、保ち合い上限の水準まで値を戻しています。結果的に、8月高値(16,943円)と7月高値(16,938円)、そして9月1日の高値(16,941円)と合わせて、より強固な三角保ち合いが形成されることになりました。保ち合い上抜けによる一段高で「17,000円台の壁」突破のシナリオも見えてきます。
短期的なトレンドでも確認してみます。下の図2は日経平均(日足)の平均足とMACDです。
(図2)日経平均(日足)の平均足とMACD(2016年9月1日取引終了時点)
上の図2では平均足が陰線から陽線に転じ、MACDもシグナルを上抜けていますので、目先は上昇トレンドと見ることができるのですが、シグナルの傾きがまだ下方向ですので、あまり強さは感じられません。実は、同じ状況が8月の高値をつけた時にも出現しています。
ですので、足元は高値更新の再チャレンジということになります。先ほどはより強固な三角保ち合いが形成されることになったと触れましたが、保ち合い期間が続けばそれだけ市場のエネルギーも溜まることになりますので、是非とも上抜けに期待したいところです。
無事に17,000円台の壁を突破できれば、これまでの戻り高値を意識する展開が想定されます。具体的には、5月高値(17,251円)、4月高値(17,613円)、2月高値(17,905円)などが目安です。
とはいえ、株価上昇の継続性に不安があるのも事実です。少し長期的な視点でも確認してみます。下の図3は、日経平均の下落基調が始まった2015年12月からのチャートです。
(図3)日経平均(日足)の動き(2015年12月1日~)
2016年以降の日経平均は17,000円を超えている場面が少ないです。また、日経平均の動いた軌跡を辿ると、トリプルボトムを形成して底打ちしたものの、その後の上昇が途絶えてしまい、その後は三角保ち合いを形成して持ち直すも下抜けてしまい、続いて右肩下がりのレンジ相場が続くことになりました。そして、英国民投票後の下振れと反発を経験してレンジ相場を脱し、足元の三角保ち合いを形成という流れになっています。この流れをまとめますと、
- トリプルボトム…ネックラインを下抜け
- 三角保ち合い…下限の線を下抜け
- レンジ相場…レンジ下限を下抜け後、上限を上抜け
- 三角保ち合い…?
になります。日経平均は、底打ちは確認できたものの、下抜けが3回続いて本格上昇の機会を逃してきたが、ようやく1回目の上抜けが出現して明るい兆しが見え始めた状況です。近くて遠い「17,000円台の壁」を越えることは難しくないかもしれませんが、維持していくにはまだ試練が残っている雰囲気を漂わせており、上昇が短期で終わってしまう可能性は意識しておく必要がありそうです。
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