いわゆる「ジャクソンホール経済シンポジウムでのイエレンFRB議長発言」待ちとなっている今週の国内株市場ですが、日経平均は横ばいの小動きが続いています。8月25日(木)の終値は16,555円でした。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年8月25日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて、上の図1で足元の状況を確認しますと、日経平均は「ザ・様子見ムード」が感じとれ、25日移動平均線に沿って推移しています。

ローソク足の実体も短いものが多く、東証1部の売買代金も、22日(月)が1兆6,278億円、23日(火)が1兆8,181億円、24日(水)が1兆6,077億円、25日(木)が1兆7,121億円と2兆円割れが続いています。前回も指摘しましたように、総じて堅調ではあるものの、同時に上値の重石と下値の突き上げの板ばさみによって、動きづらさが感じとれる状況にあまり変化はありません。

日経平均の動きをボリンジャーバンドで見ても、見事(?)に横ばいとなっており、方向感に乏しい格好です(下の図2)。バンドの幅も約750円まで縮小し、6月に下落トレンドが発生した際の「スクイーズ」に近い状況ですが、薄商いが続いていることもあり、「市場のエネルギーが溜まっている」と確信するには、ちょっと弱い印象です。

(図2)日経平均(日足)のボリンジャーバンド(2016年8月25日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

とはいえ、少なくとも日柄の調整は着実に進んでいるわけですので、チャートの辿った軌跡で現在の状況を確認してみます(下の図3)。

(図3)日経平均(日足)の動き(2016年8月25日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

図3では、6月半ばから7月上旬にかけて形成した「トリプルボトム」で底打ちし、その後は下値を切り上げつつ、17,000円水準を上値の目処とした「三角保ち合い」を形成してきたことが分かります。25日(木)の取引終了時点では、直近の横ばい推移によって、結果的に保ち合いの下限を下抜けしそうな格好になっています。

イエレンFRB議長の講演内容によっては、相場が上下両方向に動く可能性があるわけですが、この三角保ち合いが維持できるかが注目されそうです。上方向の目処は17,000円とこれまでの想定に変わりはなさそうです。一方、下方向については、保ち合いの下抜けで下げ幅拡大が懸念されることになりますが、75日移動平均線水準で下げ止まって再び保ち合いに復帰できれば、トリプルボトム崩れは避けられそうです。ちょうど、現在の75日移動平均線(16,342円)は、トリプルボトム形成時の高値水準でもあります。

また、この水準は週足チャートで見ても、26週移動平均線を維持できるかという点で重要になってきます。下の図4は日経平均の週足チャートです。

(図4)日経平均(週足)の動き(2016年8月25日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

「保ち合いを維持できるか?」と言うと、かなり地味な期待と言われそうですが、引続き日柄調整が堅調に続くことを意味します。日足チャートでは、足元の日柄調整によって保ち合い下限を下抜ける状況になりましたが、週足ではこのまま日柄調整が続くと、下向きの52週移動平均線が迫ってくることになります。今年(2016年)に入ってからの日経平均は52週移動平均を一度も超えたことがないため、強い上昇ではないものの、相場に買い安心感を与えるサインになるかもしれません。