「Leave(EUからの離脱)」を選択した英国民投票が世界中のマーケットを掻き回した先週末の余韻を引きずりながら迎えた今週の株式市場ですが、ひとまず戻りを試す展開が続いています。30日(木)取引の日経平均終値は15,575円でしたが、取引時間中の高値(15,781円)は、急落した先週金曜日(24日)の下げ幅の半値水準を超える場面もありました。

まずは、足元の状況を下の図1で確認します。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年6月30日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

前回描いたシナリオとして、①想定レンジに戻る、②下値をトライする、の2つを挙げましたが、今のところシナリオ①で推移しています。無事(?)に、想定レンジへ復帰したわけですが、このまま戻り基調が続くのであれば、前回も紹介した、トリプルボトム崩れのネックラインや25日移動平均線などが上値の目処になります。

足元の戻り基調で急落分の半値水準を回復しましたが、「半値戻しは全値戻し」という相場格言があります。このまま全値戻しを達成できれば、25日移動平均線を上抜けることになりますので、期待したいところですが、30日(木)のローソク足が陰線になっていて、そして安値引けでもあります。多少の「上昇疲れ」が感じられ、レンジ復帰の勢い持続と上げ疲れの綱引きが目先のポイントになります。

また、下の図2はここのところ毎回紹介している、日経平均の平均足とMACDです。足元の平均足が陽転しましたが、MACDがシグナルを上抜けできるかが、綱引きの強さを計るバロメーターになりそうです。6月に入って上抜けの機会が訪れるのは今回で3回目になります。

(図2)日経平均の平均足とMACDの動き(2016年6月30日取引終了時点)

(出所:取引所公表データを元に筆者作成)

期待通りに上抜くことができれば、想定レンジの上限までの上昇も視野に入ります。ただし、想定レンジ自体は右肩下がりですし、ミドルターム(中期)的には未だ下方向への意識が強いと思われます。「25日移動平均線超えがやっと」のスタンスで、あまり強気になり過ぎないぐらいの方が良いかもしれません。

ちなみに、下の図3は日経平均と移動平均乖離線の推移です。昨年12月からの下落から底打ち、もみ合いといった、各局面の様子を示していますが、日経平均が25日移動平均線を超えている期間があまり長くないことがわかります。別の見方をすれば、「大きく乖離した後、25日移動平均線の水準まで戻すパターンを繰り返している」とも言えます。今後も相場の方向感に欠ける展開が続くのであれば、大きく乖離したところで逆張りという手法も有効かもしれません。

(図3)日経平均と移動平均乖離線(2016年6月30日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)