11年通期に38%増益を予想、増収率減速と利益率低下の可能性

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00700 騰訊控股(トウジンコウコ)  179.4 HKD
(11/03現在)
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BOCIはオンラインゲーム部門の成長鈍化などを理由にテンセントの増収ペースがこの先減速する見通しを示すとともに、営業コストの増大に伴って利益率が縮小する可能性を指摘した。目標株価を引き下げ、同社株価の先行きに対する中立的な見方を継続している。BOCIが設定した2011年通期の予想売上高は前年比40%増の276億元で、12年に関する予想値は前年比32%増。一方、11年の予想純利益は38%増の111億元で、12年には26%の増益を見込んでいる。うち売上構成比が約8割に上るインターネット付加価値サービス(IVAS)部門については、11年、12年にそれぞれ44%、33%の増収を予想している。

BOCIが売り上げ伸び率の減速を見込む背景には、主にオンラインゲーム部門の成長減速やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)部門の競争激化がある。このうちまず、売上構成比が約50%に達するオンラインゲーム部門(IVAS部門の一部)については、11年に前年比58%、12年に40%の増収率を予測している。ただ、中国国内のオンラインゲーム市場の規模は2009年に前年比39%、10年に同26%の伸びを示した後、11年、12年には減速する見通し。BOCIは同社のARPU(ユーザー1人当たり月額収入)の増加や市場シェアの拡大を評価しながらも、同社が運営する人気タイトルの経年化をこの先の懸念材料として指摘し、今後は大型プロモーション活動を実施してもARPUの維持が難しくなる可能性に言及している。なお、国内ネットゲーム市場におけるテンセントのシェアは推定28.9%。業界2位、3位の合計シェアを上回るとみられている。

同社の主力事業の一つであるIM(インスタント・メッセージ・サービス)は、Sina(新浪)やNetease(網易)などの競合他社が新規サービスを立ち上げたことで市場競争が激化。また、ツイッター型のマイクロブログを含むSNS市場にIMユーザーがシフトする可能性が出ている。BOCIによれば、マイクロブログの分野では、テンセントよりSinaのほうが人気が高く、Sinaがマイクロブログ・プラットフォーム上にオンラインゲームサービスを構築していることも脅威。BOCIは、パソコン、携帯端末を問わず利用できるマイクロブログが、SNSゲームおよび従来型ネットゲーム市場で優位に立つとの見方だ。ただ、テンセントは資金力を武器に、自社マイクロブログへの投資を持続する見通し。長期的にはマイクロブログ市場でトラフィックの流れが変わる可能性があるとしている。

一方、BOCIは今後の利益率悪化を予想する理由として、
◇マイクロブログやその他SNSアプリケーションのプロモーション強化、
◇戦略投資の持続を背景とした系列会社の持ち分損益の不安定化
――を挙げている。