先週末の3月4日(金)に17,000円台を回復した日経平均ですが、今週に入るとその達成感もあってか伸び悩む展開が目立っています。値動きとしては3日続落を見せた後やや値を戻し、10日(木)の終値は16,852円でした。

(図1)日経平均(日足)の動き(2016年3月10日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

まずは上の図1で状況を整理してみます。日経平均は伸び悩んだとはいえ、25日移動平均線や、2月中旬からのもみ合いレンジの水準を上回っている状況が続いています。そのため、力強さは感じられないかもしれませんが、相場の戻り基調はまだ持続していると考えられます。とはいえ、戻り高値の更新が一服していますから、下落シナリオも考えておく必要があります。目先の注目は、日経平均が節目の15,000円割れとなった2月12日と、直近安値の3月1日を結んだトレンドラインを維持できるかどうかです。

別のテクニカル指標でもチェックしてみます。下の図2は日経平均(日足)の「平均足」とMACDです。少し期間を長めにとっています。

(図2)日経平均(日足)の平均足とMACD(2016年3月10日取引終了時点)。

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

平均足については第9回でも触れていますので細かい説明は省きますが、平均足と通常のローソク足とでは、始値と終値の記載の仕方が異なり、平均足の始値は前日の実体の半分の値、終値は当日の四本値の平均値になります。そのため、平均足はローソク足チャートに見られる「窓空け」がなく、値動きの中心がわかりやすいことや、トレンド発生中は陽線や陰線が連続して出現するなどの特徴があります。

平均足では、継続して出現していた陽線(陰線)が陰転(陽転)するタイミングがトレンド転換のサインとする見方が一般的ですが、あらためて、図2の平均足に注目してみますと、3月2日から連続して陽線が出現し、戻り基調を辿ってきたのですが、今週に入って2日続けて陰線が出現していることが分かります。

では、この陰線の出現によって戻り基調はいったん終了となってしまうのでしょうか?実は、平均足のトレンド転換のサインはMACDとセットで見ることで確度が増します。具体的にどこを見れば良いのかというと、「平均足が陽転(陰転)した後、MACDとシグナルがクロス(交差)するか?」です。

図2では平均足が陽転もしくは陰転する場面がいくつか確認できますが、その後MACDとシグナルがクロスをするとトレンドが転換しているケースが多く見られます。そのため、足元の平均足は陰転を見せていますが、MACDとシグナルはまだクロスしそうにありませんので、まだ戻り基調は持続していると考えることができます。

2月中旬からの日経平均は上方向・下方向ともに勢い出にくい状況が続いています。値動き自体は膠着気味ですが、逆に、市場心理が不安定であることも示唆しています。3月は注目のイベントが多いですし、一気に相場が動意付いてシナリオを見直す必要に迫られる展開には注意が必要と言えます。