1-9月期に22%増益、預金と資産の伸び悩みで予想下回る

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03988 中国銀行股フン有限公司(バンク・オブ・チャイナ)  2.85 HKD
(10/27現在)
 株価
 企業情報
 チャート

中国銀行の2011年1-9月期決算は純利益が前年同期比21.5%増の963億100万元と、BOCIの予想を下回った。預金の頭打ちや資産伸び率の鈍化が背景。純金利マージン(NIM)は預金コストの増大を背景に低下傾向を示した。ただ、BOCIは資産の健全性を評価し、株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。

7-9月期の純利益は前年同期比9.4%増の297億8800万元と、BOCI予想から下押ししたが、これは主にトレーディング収入、為替収入の減少に加え、資産の伸びが予想以上に鈍いペースにとどまったことが背景。

9月末時点の預金残高は年初比わずか6.0%の伸びにとどまり、6月末を下回る水準となった。預金の伸び悩みは銀行セクター全般に共通しており、国内全体の9月末の人民元建て預金残高は6月末比で1%増にとどまった。BOCIは◇商業銀行と地方信用組合との手形取引に関する規制の強化◇資産運用商品の普及による影響◇仕組預金(銀行に有利な特約を付ける代わりに金利を上乗せされた定期預金)の一部がバランスシート上で資産運用商品売り上げとして計上されたこと◇市中銀行間の競争激化――などをその原因として指摘している。仮に仕組預金を通常の預金に含めた場合、同行の9月末の預金残高は年初比11.2%の伸びを示したことになる。

預金の伸び悩みとリスク管理の強化を背景に、7-9月期には資産の伸びも相対的に低水準にとどまった。9月末の総資産は年初比10.2%増(6月末時点では年初比9.8%増)。貸出残高は同10.4%増(同9.8%増)。証券投資は同8.39%減(5.6%減)だった。

純金利マージンは7-9月期に前四半期比2ベーシスポイント低下した。中でも国内の人民元建て業務は預金コストの増大が響き、純金利マージンが同9ベーシスポイントダウン。一方、国内の外貨建て業務のマージンは同1ベーシスポイント上昇し、オフショア業務も約10ベーシスポイント上向いた。BOCIは預金獲得競争を理由に、純金利マージンの改善には期待しにくいとみている。

一方、不良債権比率は9月末時点に0.99%と、6月末の1.0%からわずかに下向いた。引当率は6月末の217.29%から223.01%に上昇している。地方政府向け融資に目を向けると、LGFV(地方政府の特別目的会社)に対する債権残高は9月末に4400億元と6月末から約800億元減り、多くが通常の企業融資に再編された。BOCIはLGFV関連の不良債権化リスクの解消には長期間を要するが、短期的なリスクは緩和に向かうと指摘。11年通期決算に及ぼす影響は限られるとみている。このほか、欧州債務の保有残高は9月末に970億8300万元で、英国、ドイツ、オランダ、フランス、スイスの割合が96%強。イタリアは4億5400万元で、アイルランド、ギリシャ、スペインの国債は未保有。BOCIは同行の欧州債務リスクが対処可能なレベルにとどまるとしている。