1-9月期に41%増益、純金利マージンの拡大や手数料収入の伸びが好決算に寄与

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00998 中信銀行(チャイナ・シティック・バンク)  3.98 HKD
(10/27現在)
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中信銀行の2011年1-9月期決算は純利益が前年同期比40.9%増の242億2600万元と、BOCIの予想を上回る水準に達した。7-9月期の純利益は同41.4%増の92億200万元。予想を上回る純金利マージン(NIM)の拡大や手数料収入の力強い伸び、さらに経常費用の低減などが好決算を支えた。BOCIは純金利マージンの拡大や費用抑制などの点で、7-9月期の決算内容をポジティブサプライズとしている。

7-9月期の純金利マージンは前四半期を22ベーシスポイント上回る水準に達した。BOCIは与信規模が相対的にタイトとなる中、金利決定力の向上が続くとの見方。また、相対的に緩やかな金利派生資産の伸びが純金利マージンの上昇を後押しするとみている。

一方、役務取引等利益は7-9月期に前年同期比43.8%増、前四半期比12.6%増。主にコンサルティング手数料や決済、クリアリング業務の伸びが寄与した。1-9月期の役務取引等利益は50.1%の伸びを示した。

7-9月期には経常収益が前年同期比37.3%増加する半面、経常費用の増加率が12.2%にとどまった。これにより、同期の引当前利益は同47.5%の伸びを示した。

また、9月末の不良債権比率と不良債権残高はともに縮小し、うち不良債権比率は6月末の0.62%から0.60%に低下した。主にCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)証券に絡む一回性損失がかさんだことで、引当金計上額は128.8%増。引当率は6月末の238.2%から250.3%に上向いた。ただ、貸出残高に対する引当率は9月末に1.49%にとどまり、この先、引当金積み増しが必要となる可能性が指摘されている。

他の銀行銘柄と同様、9月末の預金残高は6月末比でほぼ横ばい推移した。年初比では8.02%の伸び。7月に株主割当増資を完了したことで資産規模が拡大し、貸付総額は年初比で9.49%増加した。

株主割当増資を受け、Tier1(中核的自己資本)比率および自己資本比率は9月末にそれぞれ10.43%、12.83%に達した。これにより、資本増強圧力が軽減したことになる。一方、BOCIは同行のリスク要因として、資産の質的悪化や預金の伸び悩みを指摘している。

BOCIは同行の純金利マージン、非金利収入に関する想定値を上方修正し、11-13年の予想EPSをそれぞれ0.66元(修正前0.62元)、0.67元(同0.66元)、0.72元(変わらず)に設定した。同行の現在株価に基づき、11年予想PBRが0.91倍、PERで4.89倍の水準にあると指摘し、株価の先行きに対する中立的な見方を継続している。