11年7-9月期は特別損失が業績に影響、本業好調を踏まえ株価見通しは強気を継続

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00358 江西銅業(チアンシー・コッパー)  17.02 HKD
(10/26現在)
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江西銅業が発表した2011年7-9月期業績は、純利益が前年同期比3%減の12億5000万元。前期比では53%減に落ち込んだ。売上高は前年同期比56%増の306億元。粗利益率は原材料の高騰により前年同期を0.6ポイント下回る10.7%。当期は銅相場下落の影響で在庫評価引当金6億8900万元のほか、先物取引のヘッジ損失9億2700万元を計上したことが利益を圧迫した。ただ、本業は好調で、これらの特別損失を除いた税引き前利益は前年同期比81%増に達している。11年10-12月期には銅相場が安定し、ヘッジ損失や在庫評価損失の発生は避けられる見通し。BOCIは11年10-12月期純利益を前期比48%増の18億元と予想。11年通年の予想利益は前年比49%増の73億元とした。

国際銅研究会(ICGS)が10月に発表した最新の世界銅需給予想によると、11年も引き続き精製銅の需要が供給を上回り、20万1000トンの供給不足になる見通し。世界的な供給不足と中国における需要増を背景に、12年は不足量が25万6000トンに拡大するとICGSは予想している。ただ、4月の前回予想値に比べ供給不足は緩和。ICGSは前回、11-12年の不足量をそれぞれ37万7000トン、27万9000トンとしていた。

ロンドン金属取引所(LME)の10月24日の銅在庫量は44万4000トンと4月初め以来の最低水準を記録。上海先物取引所(SHFE)の銅在庫も6月下旬以来最低の8万8000トンに減少した。過去数カ月間、LME、SHFEともに在庫放出に加速傾向がみられる。LME在庫は今月初めに過去3カ月で最高の47万5000トンに達したものの、24日には6%減となった。SHFEの在庫水準は過去3カ月最高の12万1000トンを記録した8月半ばに比べ27%減少している。BOCIが業界関係者に流通状況を確認したところ、川下の在庫は適正水準にあり、11年10-12月期および12年1-3月期も中国製造業が活況を維持する見通し。よって短期的には中国の需要が銅相場を支え、健全な在庫水準が維持されるとBOCIは指摘している。

欧州の債務危機の影響で株式市場が低迷する中、同社の12年予想PERは4.9倍と、5年間のヒストリカル平均PER(10倍)を54%下回る非常に魅力的な水準にある。世界の大手銅メーカーの12年予想PERは平均で8.0倍。

欧州危機に対する当面の不安感から銅が売られ、しばらくは不安定な銅相場が予想されることから、BOCIは同社の目標株価をPER10倍から8.5倍相当に引き下げた。これは5年間のヒストリカル平均PERに対して15%のディスカウント水準。また、11-13年予想利益については原材料価格の高騰と7-9月期の特別損失計上を考慮し14-19%下方修正した。予想利益および目標PERの見直しに伴い目標株価も引き下げたが、中国銅業界の堅調なファンダメンタルズと魅力的なバリュエーションを踏まえ株価見通しは強気を継続している。