連休明けとなった今週も、日経平均2万円を目前とした推移が続いています。11月26日(木)の終値は19,944円でしたが、この日の高値は19,992円でしたので、2万円までわずか8円まで迫る場面がありました。
下の図1は、その26日(木)の日経平均のTick(ティック)チャートです。Tickチャートとは、取引が成立する都度、その時の株価を点で表したチャートです。Tickチャートを見ると一日の値動きの様子が分かります。売買が活発な銘柄であれば、多くの点が刻まれるので線のように見え、逆に取引が閑散であれば、点がまばらな寂しいチャートになります。日経平均の場合は更新間隔の15秒ごとに点が刻まれることになります。
(図1)日経平均のTickチャートの動き(2015年11月26日の取引)
あらためてTickチャートで26日(木)の取引を振り返ると、一日だけでも4回ほど2万円を試しに行く動きがあったことが分かります。さすがに4回トライしてダメだったので、「本日の2万円はお預け」ということで、引けにかけて上げ幅が縮小していったと思われます。こうして見ると、「2万円の壁」が立ちはだかっている印象ですが、上げ幅が縮小したとはいえ、この日の終値(19,944円)は始値(19,926円)を上回っていますので、上値への意欲はまだ衰えていないと言えます。
次に、視点をもう少し長くして見ていきます。下の図2は同じく日経平均の日足チャートです。
(図2)日経平均(日足)の動き(2015年11月26日の取引終了時点)
あらためて言うまでもありませんが、日経平均は順調に2万円水準まで値を戻して来ました。戻りのペースも、これまで何度か指摘してきた通り、9月29日の安値を起点としたトレンドラインを維持しているほか、5日移動平均線(MA)や25日MAが75日MAを上抜けてきました。目立った調整もなく、とにかく下値が堅調で「下げない」印象が強いです。逆に、日経平均2万円台の回復を指摘する声は先月あたりから聞こえ始めていたため、「下がったところを拾いたい」と思っても、この底堅さによって買うタイミングを逃してしまった投資家も多いと思われます。
ある意味、理想的な戻り基調に見えますが、先ほどのトレンドラインと戻り高値を結んだ線を組み合わせてみると、少し注意が必要かもしれません。どういうことかと言うと、トレンドラインも、戻り高値を結んだ線も、それぞれ、下値と上値を切り上げながら上昇していますが、両者を比較すると、上値の切り上げ幅の方がやや小さくなっています。このような形は「ウエッジ型」と呼ばれる保ち合いのパターンのように見えます。ウェッジとは「楔(くさび)」のことで、その形から名づけられています。ウェッジ型には以下の4種類があり、「上昇ウェッジ」と「下降ウェッジ」の二つに分けられます(下の図3)。
(図3)「ウェッジ型」のパターン
足元の日経平均は、上の図3のうち、(1)もしくは(2)の「上昇ウェッジ」が該当しそうです。どちらも下振れを示す点線の矢印線が見受けられますが、「頑張って買い上がってきたものの、その割には上値を伸ばしきれず、いずれ失速していくだろう」という考え方が背景にあります。一般的に、保ち合い相場は「保ち合いを抜けた方向のトレンドに乗る」というセオリーがありますが、上昇ウェッジの場合は、高値を抜けて買いを入れても、思うように利益が出ない状況が続いていることを示しているため、下振れた時に売りが加速しやすいのではというわけです。
ですので、日経平均の上昇ウェッジがこのまま続き、2万円台に乗せていくと思われますが、いざ調整局面になった際は、思ったよりも下げ足が速くなる可能性がある点には注意です。ただし、週足チャートなど、中期の戻りトレンドはまだ崩れていないため、絶好の押し目買いのタイミングなのかもしれません。その際は下げ止まりの確認の見極めがポイントになりそうです。
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