先週末に仏パリ市内の各地で同時多発的に発生した、銃撃や爆弾などによる襲撃テロ事件を受けて始まった今週の国内株式市場ですが、週初の月曜日こそ下落したものの、以降は上昇に転じ、日経平均は11月19日(木)の終値で19,859円でした。先週末(13日)終値が19,596円でしたから一段高となっています。

(図1)直近の日経平均(日足)の動き (11月19日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて日経平均の動きを上の図1で確認してみますと、今週は取引時間中に19,959円まで上昇する場面もあり、2万円の大台まで「もう一息」です。ただし、17日(火)~19日(木)のローソク足の並びは、上ヒゲが目立つ寄引同値線、陰線、そして十字線となっています。いずれも、いったん高値をつけたものの、取引終了にかけて売りに押されている値動きを示している線ですので、「株価水準が一段高している割には弱いな」という印象です。

下の図2は、今週に入ってからの日経平均の高値と終値の推移を、米国シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されている日経平均先物の清算値と比較したものです。

(図2)日経平均(高値・終値)とCME日経平均先物清算値(12月限・円建)との比較

日本株市場は取引開始前の早朝に終了する米国市場の影響を色濃く受けることが多いのですが、今週はまさにそのパターンでした。図2からは、米国CME日経平均が上昇した流れを受けて、その日の日本株市場の取引がスタート、日経平均はCMEの清算値の水準まで高値をつけるものの、終値では維持できずに上げ幅が縮小していたことが分かります。国内要因では上値を伸ばしきれない格好ですが、前日終値比では着実に上昇していますので、下値は固いと言えます。

日経平均は2万円を目前にモタモタしている印象ですが、前回も紹介しました、8月の急落時に空けた「二つの窓」を埋めている最中と見ることができます。最近の相場コメントや解説では、日経平均2万円の達成を確実視する声が増えていますが、「達成はできても、維持できるか?」となると見方はまだ分かれていると思われます。

そのため、こうした窓を埋める動きが続き、もみ合いの展開につながる可能性があります。そうなった場合、「2万円達成後の維持を視野に入れた値固め(今後は上昇)」と捉えるのか、「2万円をトライしようとしているが跳ね返されている(今後は調整入り)」と捉えるのかがテーマとなりそうです。

とはいえ、別のテクニカル指標である、ボリンジャーバンドとMACDを見る限りでは、足元の上昇基調はまだ崩れていないと言えそうです(下の図3)。

(図3)日経平均のボリンジャーバンド(上段)とMACD(下段) (11月19日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

ボリンジャーバンドでは、いわゆる「バンドウォーク」の状態となっています。ボリンジャーバンドでは、トレンドが発生する際、プラスとマイナスのσ(シグマ)の線が逆方向に広がるのですが、バンドウォークとは、その後、バンドが同じ方向に揃って、株価がその方向に沿って推移する状態のことで、比較的強いトレンドが継続中であることを意味します。また、MACDの傾きもまだ右肩上がりが続いています。